ソフトバンクと通信機器大手ノキア(フィンランド)は9月11日、AIと無線アクセスネットワーク(RAN)の融合により、次世代のモバイルネットワークを実現する技術「AI-RAN」と6G(第6世代移動通信システム)の実現に向けた共同研究開発を開始すると発表した。ノキアのvRAN(virtualized Radio Access Network)プラットフォームを用いたAI-RANの開発や、6G向けの電波として期待されるセンチメートル波を用いた実証実験などを共同で行う。

  • ソフトバンクはノキアとAI-RANを共同で開発する

    ソフトバンクはノキアとAI-RANを共同で開発する

ソフトバンクが推進するAI-RANとは、AIを活用した次世代型のモバイルネットワーク。通信量が特定の基地局に集中するのを防ぎ、基地局の電力削減にもつながる技術だ。

現在のモバイルネットワークでは、基地局を中心として通信できるエリアが作られているため、それぞれの基地局が収容できるトラフィックごとに応じた調整が困難という課題が存在する。そのため、1カ所にユーザーが集中すると音声通話やデータ通信がつながりづらくなったり、利用できなくなったりする。

一方のAI-RANでは、大規模なデータセンターを介さずにAI処理を行うことで、スマートフォンで高度なAIサービスが提供できるとしている。基地局同士が強調しエリア全体を最適化することが可能で、例えば、走行中の自動車をビームフォーミングで追跡したり、上空を飛行するドローンの通信を最適化できたりする。

AI-RANと6Gによって実現される次世代の通信システムは、より高速で柔軟性が高く、広範にわたる接続性を提供できるため、スマートシティの実現や産業の自動化、さらには新たなビジネスモデルの創造を可能にするとしている。

ソフトバンクは、この共同研究開発を通してAI-RANと6Gの実用化に向けたノウハウを蓄積し、通信事業の発展につなげていく考えだ。