NTTデータは10月16日、経済産業省の令和5年度「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業(健全な製品エコシステム構築・ルール形成促進事業)」にシステム開発事業者として採択され、サーキュラーエコノミーを実現するバッテリートレーサビリティプラットフォームの構築に取り組むことを明らかにした。

同社は2024年度中に、バッテリー製造時のカーボンフットプリント情報や、希少資源の環境および人権への配慮状況(人権・環境デューデリジェンス)を企業間で連携可能にする機能の提供開始を目指す。業界横断でデータを連携しサーキュラーエコノミーを実現するとのことだ。

今回同社が構築を目指すバッテリートレーサビリティプラットフォームは、電動車向けバッテリーに関して、サプライチェーン上のカーボンフットプリント情報の集計や、人権・環境デューデリジェンス、バリューチェーン上のリサイクル、リユース情報などを可視化する仕組み。

2023年4月に経済産業省が中心となり、企業や業界、国境をまたぐ横断的なデータ流通やシステム連携の実現を目指す取り組みが「ウラノス・エコシステム」と命名された。NTTデータおよびNTTデータグループはウラノス・エコシステムに関する公募事業に採択されるなど、企業間のデータ連携を実現するための取り組みを進めており、今回はこのノウハウを活用する。

具体的には、NTTデータグループは、データ主権を確保しながら安全にデータを流通させるためのConnector技術などを用いて、電動車向けバッテリーに関する業界横断エコシステムとユーザー企業システムやアプリケーションとのデータ流通機能を提供する。

なお、今回のプラットフォーム開発においては、QRコードや食品流通業界や物流業界で使われているブロックチェーン技術を有するデンソーも協力するようだ。同社は将来的な幅広い産業におけるトレーサビリティ技術の活用も視野に入れながら、業界課題の整理や業務要件の検討を推進する。

  • バッテリートレーサビリティプラットフォームの概要図

    バッテリートレーサビリティプラットフォームの概要図

同社は今後について、欧州電池規則においてバッテリーパスポートやリサイクル材利用義務化などリサイクル促進のための規制が開始される2027年までに、バッテリー単位での情報管理を実現し、購入ユーザーや解体業者、リユース企業、リサイクラなど、バリューチェーン上のプレーヤーと情報連携する機能をプラットフォーム上に拡張する予定だとしている。

国内で制度やシステムを整えた後は、日本車が普及しているアジア圏へもサービス展開を目指す。また、電動車向けバッテリーのみならず、サプライチェーンおよびバリューチェーンにおいてデータ連携が必要となる他のユースケースへの適用についても検討を進める。