Intelは9月29日、Intel IrelandにおけるFab 34の開所式を行い、EUV露光技術を採用した同社の最新世代プロセス「Intel 4」を用いたプロセッサの量産開始を祝った。

Fab 34で最初に生産されるのは、次世代PC向けプロセッサである「Core Ultra(開発コード名:Meteor Lake)」で、これまでは米オレゴン州の開発・試作ラインにて少量生産されてきた。実はFab 34、過去6か月以上にわたってEUV露光装置の調整や、テスト生産が続けられてきたため、同社では今回の式典に際し、「公式なFab 34のオープニング」とコメント。今回のイベントを、EUVを活用して4年間で5つのノードを提供し、2025年にプロセステクノロジーでリーダーシップを取り戻すという目標に向かって推進する上で重要なマイルストーンとして位置付けている。ちなみに非公式な情報だが、IntelはIntel 18A世代から、他社に先駆ける形で高NA EUV露光装置を量産適用する予定で、ASMLと交渉を進めている模様である。

  • Intel Ireland Fab 34のオープニング祝賀式典

    Intel Ireland Fab 34のオープニング祝賀式典の様子 (出所:Intel、以下すべて)

同社のPat Gelsinger CEOは、式典にて「Intelがプロセスのリーダーに戻るために協力してくれたIntel内部のチームだけでなく、顧客、サプライヤ、パートナーにも感謝する。シリコンアイランドであるIntel Irlandは常にIntelの長期戦略の中核であり、今日の式典は、より強靱で持続可能な半導体サプライチェーンを構築するという欧州連合(EU)の目標に貢献すると確信している」と述べている。

  • 式典で挨拶するPat Gelsinger CEO

    式典で挨拶するPat Gelsinger CEO

また、同社エグゼクティブ・バイスプレジデント兼最高グローバル・オペレーション・オフィサーのKeyvan Esfarjani氏は、「アイルランドの取り組みはIntelの世界的な製造拠点の基礎であり、欧州における前工程(アイルランドおよび計画中のドイツ)から後工程(ポーランドに計画中)に至るエンドツーエンドの半導体製造バリューチェーンの構築の重要な部分である」ともし、170億ユーロの投資を推進する中での重要なマイルストーンとなるとしている。

IntelがFab 34の内部を公開

Intelはこの式典に合わせてFab 34内部を画像で公開している。中にはGelsinger CEOが製造装置が立ち並ぶクリーンルーム内でテープカットを行う様子も見て取れるものがあるほか、動画では立ち上げ中のEUV露光装置が複数台並べられているのも確認できる。しかし、EUVをフル活用するには台数が足りない模様で、Intel 4では限定的な使い方に留まり、本格的な活用はIntel 3以降になる模様である。

  • Fab 34のクリーンルーム内でのテープカット式の様子

    Fab 34のクリーンルーム内でのテープカット式の様子。最前列で大きな鋏を手にしているのがPat Gelsinger CEO

  • Fab 34のクリーンルーム内部の様子

    Fab 34のクリーンルーム内部の様子。OHTのレールが天井に張めぐらされている

また、Intelは全社をあげて環境への影響を最小限に抑えながら事業を拡大することを目指しており、今回を機に「Intel Ireland Climate Plan 2023」を公表。温室効果ガス(GHG)の排出量やエネルギー使用量、水使用量、埋め立て廃棄物の削減に向けた取り組みを示した。

Fab 34は、持続可能性を高めるための工夫が施されており、例えば建物には、熱回収によって生成された熱と従来の方法で生成された熱の比率を9:1に抑えたほか、リサイクルセメントを利用したとしている。また、キャンパス全体としても、100%再生可能な電力供給を目指した電力の購入戦略を推進しているほか、使用した水の88%を川に戻し、2022年に埋立地に搬出した廃棄物は総量の0.6%にとどめるといった取り組みを行ったという。これらの取り組みは、2030年までに世界規模で100%再生可能電力の使用、埋立地への廃棄物ゼロを達成するという同社の目標達成につながるとしている。同社は2040年までに世界の事業全体でGHG排出量を実質ゼロにするほか、2050年までに上流のGHG排出量を実質ゼロとする目標を掲げている。