Infineon Technologiesは、マレーシア・クリムの既設の半導体製造拠点を拡張し、世界最大級の200mm SiCパワー半導体ファブとする計画を発表した。
同社ではオーストリアのフィラッハとマレーシアのクリムでの200mmウェハによるSiCパワー半導体製造を計画しており、今後5年間でクリムに最大50億ユーロを追加投資を計画している今回の投資により、SiCパワー半導体の売り上げは2030年末までにおよそ70億ユーロに達する規模にまで拡充される見通しだという。
同社では、このクリムの拡充は、自社が掲げるSiCにおける2030年の市場シェア30%の目標を達成するために必要な投資であり、2025年のSiCパワー半導体売上高の目標10億ユーロを上回ることを確信させるものとなるとしている。
また、拡張の関する投資には、自動車および産業用アプリケーション向けのデザインウインを通じて得た総額約50億ユーロの資金に加え、10億ユーロに達する顧客のコミットメントによって支えられているという。中でも自動車分野のデザインウインにはFordや上海汽車、奇瑞汽車など6社の自動車OEMが含まれており、そのうち3社は中国勢だという。一方の再生可能エネルギーの分野のデザインウインには、SolarEdgeならびに中国の大手太陽光発電およびエネルギー貯蔵システム会社3社が含まれているほか、Schneider Electricとの間には、SiおよびSiCパワー半導体に対する前払いによる生産量の割り当て確保の合意がなされているという。前払い金は今後数年間にわたってInfineonのキャッシュフローにプラスに寄与し、遅くとも2030年までに合意された販売量に応じて全額返済される予定だという。
なおマレーシアは、これまでInfineonのほか、IntelやTexas Instruments、ASEなどといった大手を中心に多数の半導体後工程ファブが集結する地域となっており、世界の後工程拠点として名をはせてきたが、同国政府は現在、前工程ファブの誘致にも熱心に乗り出しており、世界の総合半導体製造拠点化を目指している模様である。