AIの覇権を巡り国家間の競争が始まっている。OpenAIの共同創業者兼CEOのSam Altman(サム・アルトマン)氏は「権威主義的なAIのビジョンが広まりつつある。AIを民主的にするべく、米国が主導する取り組みを持つべきだ」と述べている。
アルトマン氏が示す米国がとるべき具体的な提案
アルトマン氏は「AIの将来をコントロールするのは誰か?」と警鐘を鳴らす。タイトルで世界で起こっているAI開発競争に触れている。
同氏は、米国とその同盟国が主導するアプローチはAIの恩恵を広く普及させてアクセスを開放するグローバルなものであるのに対し、価値観を共有しない一部の国では権威主義的なアプローチをとっていると説明する。
「AIの急速な進歩は、われわれが将来どのような世界で生活するのかという戦略的な選択に直面していることを意味する」とアルトマン氏。
AI開発における米国のリードは「保証されたものではない。権威主義的な政権が莫大な投資を行う準備をしている」と中露の動向を紹介した。このような権威主義的な体制は、自分たちの権力を強化する目的でAIがもたらす科学、健康、教育といった社会的メリットを独占しようとするもの、と指摘している。
そこで、アルトマン氏は米国の公共や戦略に関連する機関がとるべき具体的な提案として、以下の4つを挙げている。
1. 米国のAI企業と産業は堅牢なセキュリティ対策を構築する
2. AI向けのインフラの整備
3. AI技術の輸出管理や国外からの投資についてルールを定める
4. AI開発と実装について国際的な規範を確立する
アルトマン氏は、自身が以前から提唱している国際原子力機関のような団体や、ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)のようなモデルが考えられるとしている。なお、一連のアルトマン氏の意見は、7月25日付のThe Washington Postに寄せた論説によるものだ。