TrendForceによると、2023年のSiCパワー半導体市場は前年比41.4%増の22億8000万ドル規模に達するものと予想されるという。
その適用アプリケーションとしては、再生可能エネルギーと電気自動車(EV)が2大市場で、2022年のそれぞれの市場規模はEV向けがEV向けが10億9000万ドルで全体の約67.4%のシェア、再生可能エネルギー向けは2億1000万ドルで、全体の約13.1%を占めたと見られるという。
EV市場でのSiCパワー半導体に対する期待が高まるにつれて半導体メーカーと自動車OEMの連携強化が加速しており、例えばonsemiは独Volkswagenにメイントラクションインバータ向けパワーモジュール「EliteSiC 1200V」を提供するほか、起亜自動車のコンパクトクロスオーバーSUV「EV6 GT」にもEliteSiCシリーズを提供することを明らかにしている。また、WolfspeedもMercedes-Benzとのパートナーシップ強化を明らかにしている。
もう一方の再生可能エネルギー分野でも、onsemiが米Amptが提供する太陽光発電システム向けDC/DCコンバータ「ストリングオプティマイザ」にSiC MOSFETを提供するという動きを見せている。また、Infineon Technologiesは台Delta Electronicsの太陽光発電、電力貯蔵、EVへの充電を統合するハイブリッド3 in 1システムとして機能する双方向インバータ向けに「CoolSiC」を提供するほか、水素プラットフォーム開発の米Bloom EnergyにもCoolSiCシリーズを提供するとしている。
SiCウェハサイズは6インチから8インチへ
SiCパワー半導体のコストの最大49%を占めるのがSiC基板であり、製品品質にもつながるとされている。その最大のプレイヤーはWolfspeedで、市場シェアは60%以上ともされている。Wolfspeedは2022年より、米国にて8インチSiCウェハ工場を稼働させているが、ドイツにも8インチウェハ工場を建設することを予定している。このドイツ工場には独ZFグループが共同出資者となっており、数億ドルが投じられる予定だという。そのほかのプレイヤーとしては、Infineonが最近、レゾナックと長期供給契約を締結。6インチを中心に、将来的には8インチウェハの供給も計画されているという。また、STMicroelectronicsはSoitecとの関係強化を進めており、SoitecのSmartSiCを活用して今後、8インチSiCウェハの製造を予定している。
現在、SiCパワー半導体市場は徐々に6インチから8インチへと移行しようとしており、さらなる需要の喚起、ならびに市場拡大を図ろうとしている。そのためTrendForceでも、SiCパワー半導体市場は、2026年には約53億3000万ドルまで拡大するとしているが、その時点でもEVならびに再生可能エネルギーは2大市場であり、2026年のEV向け市場は39億8000万ドル、2023年から2026年の年平均成長率(CAGR)は約38%としている。再生可能エネルギー向け市場は4億1000万ドルまで成長し、CAGRは19%としている。