知能化や電動化など、自動車の機能が劇的に変化する中、DXによる新たな生産システムを軌道に乗せたのが日産自動車(以下、日産)だ。1月19日に開催された「TECH+セミナー 製造業DX Day 2023 Jan. デジタルがものづくりにもたらすもの」に登壇した同社 車両生産技術開発本部 常務執行役員の平田禎治氏は、EVアリアの量産で実現した革新的な生産システム「ニッサンインテリジェントファクトリー」の内容を中心に、同社が次世代のクルマ作りのために導入したDXの取り組みについて説明した。

最新の自動車生産に向けて導入した「ニッサンインテリジェントファクトリー」

講演冒頭で平田氏は、日産が現在行っている全社的な取り組みについて紹介。得意とする技術分野に集中して取り組むことを目指す事業構造改革計画「Nissan NEXT」や、今後5年間で2兆円を投資して電動車の比率50パーセントを目指すという中長期的な電動化のビジョン「Nissan Ambition 2030」、すでに成果を上げているというカーボンニュートラルなどの取り組み「ゼロエミッション化生産システム」を挙げた。

さらに、同社の経営方針である「ニッサン インテリジェント モビリティ」について同氏は、3つの柱で構成されると説明する。3つの柱とは、プロパイロットと呼ばれる運転支援技術を用いた「インテリジェント・ドライビング」、電動モーターによる「インテリジェント・パワー」、外部システムとの連携による「インテリジェント・インテグレーション」だ。つまり、クルマの知能化と電動化、そして外部との連携によって次世代の自動車を作ろうというわけだ。

  • ニッサン インテリジェント モビリティの取り組み

具体的な取り組みを進める中で、同社が栃木工場に導入したのが「ニッサンインテリジェントファクトリー」である。平田氏曰く、「複雑で高度な技術が採用された近年の自動車の生産に対応するために、DXを推進しようというもの」だ。この取り組みにより、作業者の技能に依存していた部分のロボットへの移植、アナログ的だった品質検査の自動化、自動化やエルゴノミクス(人間工学)による心身への負担のない職場づくりなどが実現している。

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