龍谷大学は12月8日、大型コンピュータが必要とする多大な集積回路と同等の機能を、アモルファス金属酸化物半導体3D ICとして1チップ化できる手法を開発したことを発表した。

同成果は、龍谷大学 革新的材料・プロセス研究センターの木村睦研究員(先端理工学部 教授兼任)、同・大学 理工学研究科の岩城江津子大学院生らの研究チームによるもの。詳細は、「IEEE Journal of the Electron Devices Society」に掲載された。

コンピュータの高性能化手法の1つとして、1000億を超す神経細胞がネットワークを構成し、少ないエネルギーで高効率に演算可能なヒトの脳を模するニューロモルフィック(ニューロモーフィック)なシステムの実現が期待されているが、そのためには、ヒトの脳に近い集積度を有しつつコンパクトかつ低消費電力な高効率回路の実現が求められることとなる。

研究チームは、そうした脳を模倣したニューロモルフィックシステムを構築することを目標とし、プロセス温度が低く、高集積化が容易である酸化物半導体を用いたシステムの研究を進めてきており、今回の研究では、材料・構造・製造等をカスタマイズすることによって、個々の要求に対して優れた性能を発揮できる点を特徴とするAOS薄膜を用いた多層クロスバーアレイを開発し、ニューロモルフィックシステムへの実装を実現することにしたという。

AOS薄膜は熱処理を伴わない簡便なスパッタリング法で成膜できるため、下層構造にダメージを与えることなく、多層構造を実現することが可能だという。