SEMIジャパンは8月26日、SEMICON Japan 2022と同時開催予定の半導体パッケージングおよび実装分野の最新技術の展示と、国内外キーパーソンによる講演、ネットワーキング・イベントを組み合わせた大型イベント「APCS(Advanced Packaging and Chiplet Summit)」に関するメディア向け説明会を開催。その開催趣旨などの説明を行った。

より進化した後工程技術を披露する場となる「APCS」

APCSは、これまでのSEMICON Japanでは後工程ゾーン(2021年開催のSEMICON Japan 2021 Hybridでは後工程・総合ゾーン)の意義を拡張したもので、従来からの総合ゾーンと同じ東京ビッグサイト東1~3ホールにまたがる形で設置される。総合ゾーンにも一部の後工程向け装置メーカーはブースを出展するものの、チップレットや3次元実装など、最先端の後工程技術に向けた技術や素材、ソリューションなどを扱うメーカーの多くがAPCSでの出展を予定しているとのことで、あまりにも好評なため、当初予定していたフロア面積を拡張して提供。SEMIジャパン代表の浜島雅彦氏によると、説明会開催時点(8月26日)で50社ほどのメーカーが出展予定(総合ゾーンに出展する後工程装置メーカーなどを含めると70-80社程度とのこと)で、中には前工程ゾーンとAPCS両方に出す企業などもいるという。

浜島氏はAPCSの開催について、「半導体の進化は止まることはない。世界中が半導体の進化の恩恵を受けてきた。しかし、そうした進化の光が多くあたってきたのは、プロセスの微細化を中心とした前工程であった。前工程の進化も継続するが、それ以上に後工程が注目を集めるようになってきた。3D ICやチップレットが大きな意味合いを持つと業界全体として確信しているところがある。そういう意味でも、後工程のプレイヤー各社に胸をはって、半導体産業をけん引していってもらいたい。後工程には日本企業が強い分野が多く、そういう企業が、足を運んでくれたアジアのOSATなどに技術を披露するなど、世界をけん引する日本の後工程企業にスポットライトを当てることで、産業の活性化につながればと思っている。半導体産業は注目されるようになったものの、それでも認知度といった意味では他産業に比べて低い。そうした面でも、いろいろな角度で存在感をアピールしていきたい」と語り、日本が強みを持っている分野であり、その存在を強調するべく企画したとする。

  • APCSの開催趣旨

    APCSの開催趣旨 (資料提供:SEMIジャパン)

また、APCSの実行推進委員長で、長瀬産業の執行役員 NVC室 室長でもある折井靖光氏は、1986年ころに自身がIBMに入社した当時を振り返りつつ、「あの当時はチップの性能よりもパッケージの性能でメインフレームが進化していた。すでにその時代で121個のチップがセラミックの基板に搭載されていた。IBMはその分野に強かった。それまでケーブルだらけだったのが1つのパッケージに収めることができるようになった(サーマルコンダクションモジュール、TCM:Thermal Conduction Module)。その後、日本のメインフレームプレイヤー各社もそうしたパッケージを手掛けるようになり、そこから半導体の集積化が進み、すべてが1チップに収まるようになってパッケージ技術は下火になったように見えるが、日本ではさまざまな製品の小型化に活用するようになった。有名どころとしてはソニーのパスポートサイズハンディカムが生み出されるなど、そうした小型化という技術は日本は強さを維持してきた。そうした技術が再び半導体のパッケージに活かされる時代が到来したと感じ、日本からそうした技術を発信する必要があると感じている。ようやく、日本が今まで培ってきた技術を世界に見せる時がきたと思っている。半導体プロセスの微細化はこれからも続くが、微細化が限界を迎えたときに、チップをどう分けていくかというチップレットの方向の両輪で日本も頑張っていけば、半導体を日本がリードできていけると思っている」と、APCSを開催する意義を強調。そうした強みを培ってきた装置や材料のみならず、技術的な面でも日本がリードしていける可能性があり、ACPSをそうした存在感を発揮できるアピールの場にしたいとする。