台TSMCは、半導体設計を支援する「ジャパンデザインセンター大阪」を12月1日に大阪市中央区内に開設し、30人体制で業務を始めた。横浜市内に2020年に開設したデザインセンターに続き国内2拠点目となる。横浜の設計拠点には180人(2023年4月入社予定者を含む)が在籍しているが、2026年には両拠点あわせて400人以上の体制を目指すとしている。TSMCのデザインセンターは世界各所に合計2200人ほどが配置されており、台湾本社のR&D部門直属となっている。大阪では、最先端の3nmデバイスを中心とした顧客企業の設計支援を行うという。
TSMCが半導体設計技術者を大量募集
同社は、関西の大学で半導体設計を専攻している学生を新卒採用しようとしているほか、さまざまな事情で地元を離れられない関西圏の半導体設計技術者を日本企業の給与水準より高い報酬で中途採用しようと計画している。ちなみに、横浜の同社デザインセンターは2022年4月から新卒募集を始めているが、採用者の6割が博士課程修了者、4割が修士課程修了者だという。
TSMCは、現在、3nmなど業界の最先端の技術開発に関して、
- デジタルレイアウト設計経験者
- SoC向けメモリ設計経験者(コンパイラー開発、キャラクタライズ)
- スタンダードセル開発経験者
- アナログ、I/Oレイアウト設計経験者
などを100名以上募集中であるが、関東には優秀な設計技術者がすでに枯渇ぎみで、関西に手を広げて募集するようである。
メモリー設計、カスタムレイアウト設計、デジタルレイアウト設計、スタンダードセル開発を担当する新卒者も同時に募集している。
熊本にファブ誘致はしたものの、日本のシェアは5%
TSMCの売上高を地域・国別でみると、アリゾナ州にファブ建設中の米国が7割と圧倒的に多いが、同様に熊本にファブ建設(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing:JASM)を進めている日本は5%のシェアしかない。日本法人のTSMCジャパンは1998年の設立以来、2桁の販売シェアを目標にしてきたが、日本でのシェアはそこまで到達していない。売り上げをそこまで高めるだけの十分な顧客がおらず、TSMCは日本政府の補助金がなければ日本に進出する状況ではなかったと想像される。今回のTSMCの大阪進出は、設計支援を充実させることで日本の顧客を増やし、売り上げを高める計画の一環だと思われる。
ソニーも大阪拠点を設置、関西の設計人材を募集
なおTSMCに先立ち、TSMCとJASMで協力するソニーの半導体子会社であるソニーセミコンダクタソリューションズは、2020年4月に大阪市内にCMOSイメージセンサ設計開発拠点「大阪オフィス」を設置し、関西におけるイメージセンサ研究開発人材の中途採用に力を入れている。関西では、イメージセンサを含む半導体事業を売却したり縮小した大手電機企業が複数あり、優秀な半導体技術者の草刈り場となっている。