ソフトバンクは10月25日、Beyond 5G/6G時代の超高速無線通信などの実用化に向けた研究開発を進める中で、テラヘルツ波を使用した屋外での通信エリア構築の検証に成功したと発表した。

  • テラヘルツ波伝搬のフィールドマップ

  • 見通し外でのテラヘルツ波到来方向のイメージ

Beyond 5G/6Gの時代では、屋内外におけるXRデバイスを使用したサービスを支える通信インフラとして、5G(第5世代移動通信システム)よりも伝送帯域が広い無線通信が必要になるという。

また、100GHzを超え10THzまでの電磁波であるテラヘルツ波を利用した通信では100Gbpsを超える伝送帯域が実現できるとして、超高速無線システムの候補としての期待があるとのこと。

しかし、電波は周波数が上がると距離に対する減衰が大きくなり、さらにミリ波を超える周波数では雨などの影響が強くなる性質があるという。そのため、テラヘルツ波による通信は屋外での実用は難しく、近距離でかつ見通しの範囲内での利用に最適だとされてきたとのこと。

同社は、このテラヘルツ波を移動通信として利用するための研究開発を進めてきたという。同社は、240.5GHz帯と300GHz帯の周波数の実験試験局免許を取得して、2022年9月に東京都港区台場でテラヘルツ波による通信エリア構築の検証を開始した。

  • 送信側/受信側の車両

見通しが良い環境下において、最大900m超の距離で電波伝搬の測定および通信エリア構築を確認できたほか、送信側が受信側を見通せない(見通し外の)環境下でも、同社独自開発した高利得で360度方向の送受信ができるという「回転反射鏡アンテナ」を使用した測定で受信に成功し、通信エリアが構築できる可能性を確認したとしている。

  • 回転反射鏡アンテナ

この検証結果により、テラヘルツ波による超高速通信は限られた場所だけではなく、これまで移動通信で利用してきた周波数帯域による通信と同様の環境でも実現できる可能性が示されたという。

同社は今後、多様な環境で測定することで、テラヘルツ波の伝搬特性を研究していく予定だ。