STマイクロエレクトロニクスは5月19日、ドライバ・モニタリング・システム(DMS)用のグローバルシャッター機能搭載イメージセンサ「VB56G4A」を発表した。

DMSは、ドライバの頭部の動きなどを継続的にモニタリングし、居眠りやわき見運転の兆候を認識した際に警告を発生させ、乗客の安全を守るシステムである。

現代で発生する交通事故の約95%は人為的なミスが原因といわれる中、その対策としてヨーロッパでは新たに法律が制定され、2024年にはヨーロッパのすべての新しい自動車プラットフォームに、2026年には既存のプラットフォームにおいてもDMSの搭載が必須となる。またアメリカでも、国家運輸安全委員会(NTSB)がすべての半自動運転車にDMSの搭載を推奨している。

  • 今回発表された製品イメージ

    今回発表された製品イメージ(出典:STマイクロ)

今回発表されたVB56G4Aは、STマイクロがかねてより内部投資を行ってきた3Dスタック裏面照射(BSI-3D)イメージセンサであり、第1世代のDMSで一般的に使用されている従来の表面照射(FSI)センサと比べ、高感度かつ小型で、高度な信頼性を実現するという。

また同製品に搭載されるグローバルシャッター機能により、撮像範囲の全ピクセルを同時露光が可能となり、近赤外照明との同期を簡略化することで照明部の消費電力削減に貢献するとしている。

VB56G4Aは、940nmの近赤外波長において24%という高い量子効率を実現するとともに、最大60dBの線形ダイナミック・レンジを備えているため、シンプルかつ低消費電力の不可視光LEDエミッタで十分な照明をセンサに提供可能なうえ、2.6μmのピクセルサイズによりカメラサイズの最適化にも貢献するとのことだ。

さらに自動露光制御機能も搭載しており、センサとシステム間での相互制御を最小限に抑えつつ、アプリケーション・ソフトウェア設計の簡略化が可能だとした。

VB56G4Aは、自動黒レベル補正、動的ピクセル欠陥修正などの柔軟性の高い操作モードが搭載されていて、また外部接続として、8本のプログラム可能な汎用I/O(GPIO)ピンや、1レーンあたり最大1.5Gbpsで動作するデュアル・レーンMIPI CSI-2トランスミッタ・インタフェースなども搭載しており、最大88フレーム/秒(fps)の解像度で動作可能で、消費電力は60fps時に145mW(Typ.)だとしている。

STマイクロは現在、主要顧客向けにVB56G4Aのサンプルを出荷中で、2024年モデルの車両に採用できるよう2023年初めに量産が開始される予定とのことだ。