STマイクロエレクトロニクスは3月1日、積層ウェハ・プロセスによる裏面照射型(BSI)ピクセル・アレイ(672×804)を搭載した高解像度インダイレクトToF(Time-of-Flight:iToF)測距センサ「VD55H1」を発表した。

独自のピクセル・アーキテクチャと40nm積層ウェハ技術を使用した製造プロセスにより、低消費電力、低ノイズ、およびダイ面積の最適化が図られており、従来のVGAセンサと比較してチップが小型化され、ピクセル数が75%以上増加しているという。

50万以上のポイントを測距することで3次元表面をマッピングし、センサから5mまでの対象物を検出でき、パターン照明を使用することでさらに測定距離を延長可能だという。

200MHzの変調周波数で動作し、940nmの光源で85%以上の復調コントラストを実現する独自機能により、一般的に100MHz前後で動作する既存のセンサと比較して深度ノイズを2分の1に低減することが可能だという。

また、複数周波数による動作、先進的なデプス・アンラッピング・アルゴリズム、低ピクセル・ノイズ・フロア、および高ピクセル・ダイナミック・レンジにより、広い測距範囲にわたり優れた測距精度を実現し、深度精度は1%以内、標準的な精度は距離の0.1%とのことだ。

さらに、短時間のキャプチャ・シーケンスにより、最大120fpsのフレーム・レートに対応し、被写体ブレの改善にも貢献し、スペクトラム拡散型発振器(SSCG)を含む先進的なクロック/位相制御により、複数機器による干渉の軽減や、EMCの最適化も可能で、消費電力を100mW未満に削減できるストリーミング・モードを備えているため、バッテリ駆動機器の駆動時間延長にも貢献できるとしている。

これらの特徴から、室内マッピング、ゲーム、3Dアバター、AR/VR市場におけるユースケースに適しており、スマートフォンでは、ボケ効果、マルチカメラの選択、動画のセグメンテーションなど、カメラ機能の性能向上に貢献できるとしているほか、高解像度かつ高精度な3D距離画像により、スマートフォンのロック解除やモバイル決済に加え、セキュア・トランザクションや入退室管理を含む幅広いスマート・システムで使用される顔認証のセキュリティ強化に貢献し、ロボット分野においては、あらゆる対象物との距離を高い再現性で3Dマッピングが可能だという。

なお、同製品はすでにサンプル出荷中で、2022年下半期に量産が開始される予定だ。