積水化学工業は12月21日、5G通信向けの透明フレキシブル電波反射フィルムの開発を発表した。同フィルムは、独自のフィルムや光学粘着材技術と、Meta Materials社のメタマテリアル技術の活用したもので、壁・天井などに貼ることにより電波を反射させ、遮蔽部に電波を届けることが可能だ。2022年度からサンプル販売を開始する予定。

  • フィルムの外観

反射フィルムを建物内に貼る方法により、基地局や中継機の設置に比べ、安価に短期間で通信環境の改善できる。また、フィルムは電源不要、透明、フレキシブルであるため、外観を損ねることなく、あらゆる形状の部位や場所に施工が可能となる。

  • 電波反射イメージ

電波環境評価に関しては、DOCOMO Innovations社の協力の下で検証を進め、5Gから6Gまでの周波数帯域をカバーし、従来にはない高い透明性・電波拡散性を併せ持ったフィルムであることを確認したという。

  • DOCOMO Innovations, Inc. による屋内電波環境改善シミュレーション

また、ミライトの協創ラボにおける屋内実証実験での検証では、基地局から30メートル離れた反射フィルムを介して、基地局からの電波を適切に反射制御することによって、電波環境を広範囲に改善できることを確認したという。

積水化学工業は、同フィルムをオフィス、工場、ショッピングモール、医療・介護施設、各種競技場、農場・畜産場、スマートシティー、地下街、鉄道・道路インフラへの展開に加え、救急、工事現場、キャンプ等の一時的・緊急的な用途への対応も含め、用途開拓を進めていく。