台湾の半導体市場動向調査会社であるTrendForceによると、2021年第3四半期のNAND市場は、主にデータセンターおよびスマートフォン(スマホ)からの強い需要のおかげで前四半期比15%増の188億7910万ドルとなったという。

また、ビット出荷数量は同約11%増、平均販売価格も同約4%増と好調であった。第4四半期については、半導体不足によりさまざまな最終製品が生産できないという状況の一方、NANDはほかの主要電子コンポーネントに比べて在庫が豊富にあるため、その在庫レベルの差はこの数か月にわたって広がってきており、NANDの在庫量の削減が必要となる可能性がでてくる。在庫の調整のために放出されれば、契約価格は下がり始めることとなり、その結果、これまでNANDサプライヤが享受してきた売り上げの伸びに終止符が打たれる懸念があるという。

2021年第3四半期の自社ブランドNANDサプライヤ各社の売上高ランキング(単位:百万ドル)。2021年第1四半期以降、IntelのNAND売り上げには同社の方針によりOptane SSDの売上分が含まれていない (出所:TrendForce)

NANDサプライヤ大手6社の2021年第3四半期業績

NANDシェアトップのSamsung Electronicsの2021年第3四半期の動きとしては、ハイパースケーラーやスマホブランドからの調達需要により、平均販売価格を同10%ほど上昇させたが、PCメーカーからの需要減により、ビット出荷数量は同約5%ほどの増加に留まった結果、当該事業の売上高は同16.5%増の65億1000万ドルとなったという。

業界2位のキオクシアの業績は、PCメーカーからの注文減も、スマホおよびデータセンターからの注文が増加。ビット出荷数量は同15%超の伸び、平均販売価格も同約4%増となり、売上高も同20.8%増の36億4000万ドルとなり、同社の四半期業績としては過去最高を更新したという。

業界3位のSK Hynixの業績は、データセンターからの強い引き合いと、オフシーズンを見越した在庫放出などといった動きから、大手NANDサプライヤ中、ビット出荷数量が同20%以上ともっとも高い伸びを示したほか、平均販売価格も同約5%増となり、売上高は同25.6%増の25億4000万ドルを記録した。

業界4位でキオクシアの開発・製造パートナーであるWestern Digitalは、エンタープライズSSDとスマホからの需要増によりビット出荷数量を同8%増と伸ばした一方、PC OEMクライアントからのSSDの受注減という状況で、高メモリ容量品へフォーカスした結果の平均販売価格の同3%減という事態となり、売上高も同2.9%増の24億9000万ドルに留まったという。

業界5位のMicron Technologyはデータセンタからの需要が堅調で、同社の176層製品の採用が増えており、平均販売価格も同約5%増となったが、スマホでの伸び悩み、PC OEMの生産遅延などの影響からビット出荷数量は同4%増と低調となり、売上高も同8.8%増の19億7100万ドルに留まったという。

そして業界6位のIntelは、データセンターからの需要によりエンタープライズSSDの価格を押し上げた結果、平均販売価格は同6%近く上昇。ただし、上流のコンポーネントを十分に調達できなかったことから、ビット出荷数量は同約5%の減少となり、その結果、売上高も同0.6%増の11億500万ドルに留まったという。