新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、日本製鋼所(JSW)、三菱ケミカルの3者は11月19日、JSWと三菱ケミカルが2021年5月に竣工した大型のGaN基板製造実証設備にて、GaN基板の高品質かつ高生産性を有した低コスト製造技術「SCAAT-LP」を用いた結晶成長試験として、GaN結晶を4インチサイズに成長させることに成功したことを発表した。

次世代半導体として期待されているGaN。日本でも2020年度から2021年度にかけて実施中のNEDOの助成事業「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」として、JSWと三菱ケミカルが、その前のNEDOのプログラムと併せて計5年のわたってGaN基板製造に関する共同研究を進められてきた。

同プログラムでは、「低圧酸性アモノサーマル法」を利用した結晶成長を実現に向けたパイロット設備が建設された後、2021年5月により大型の実証設備が稼働。三菱ケミカルが開発した液相成長法(Super Critical Acidic Ammonia Technology:SCAAT)を活用して、GaN基板の製造において高品質・高生産性・低コストを実現する技術「SCAAT-LP」を適用し、今回、4インチGaN結晶ができていることを確認したという。

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    「SCAAT-LP」により成長したGaN結晶 (出所:プレスリリースPDF)

すでに複数回の結晶成長試験が行われ、計画通りの順調な設備運用も確かめられたとするほか、一連の結晶成長プロセス、結晶の取り出しなどの各工程における安全性や生産性に問題がないことも確認されたという。

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    パイロット設備(左)と大型実証設備(右)を比較した、オートクレーブの大型化イメージ (出所:プレスリリースPDF)

なお、日本製鋼所と三菱ケミカルは今後、この大型実証設備での結晶成長試験を継続し、より高い生産性を実現させ、2022年度初頭からの市場供給を開始する予定としている。