英Armは5月8日、2024年第1四半期の決算概要を発表した。

それによると、売上高は前年同期比47%増の9億2800万ドル、純利益は同約75倍の2億2400万ドルとなった。また、同期のライセンス収入は同60%増の4億1400万ドルと好調であった。その背景を同社は、特に人工知能(AI)向け半導体のライセンス収入が増加したことが大きいとしている。また、半導体が売れるごとに得られるロイヤルティ収入は、スマートフォン(スマホ)の出荷台数の増加に伴い、同37%増の5億1400万ドルとなったとしている。

  • Armの2024年1~3月期の決算概要

    Armの2024年1~3月期の決算概要 (出所:Arm)

  • Armのロイヤリティ収入とライセンス収入の推移

    四半期別に見たArmのロイヤリティ収入とライセンス収入の推移 (出所:Arm)

また同社は、2024年4〜6月期の売上高見通しについて8億7500万~9億2500万ドルと説明しているほか、2025年3月期の通期売上高見通しについて38億〜41億ドルと発表している。

これらの見通しについては、市場の事前予測を下回っており、市場関係者の一部から失望を買ったようだが、同社のレネ・ハース最高経営責任者(CEO)は、長期的な成長に自信を持っていることに変わりはないと主張し、「AI需要でアップグレードに拍車がかかっているデータセンター向けハードウェア分野でより大きな地位を築くことを目指している」として、一例として、アマゾン・ドット・コムのクラウドサービス部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)に幅広く自社サービスを提供していることを強調している。また、NVIDIAの最新AI向け半導体「GB200」にも自社技術が採用されたことも明らかにしており、今後、生成AI向けの需要開拓に注力して収益を伸ばす戦略を明らかにしている。

Armの半導体IPはすでに多くのスマホにおける重要技術となっており、同社はそうした地位を利用し、AI需要でアップグレードに拍車がかかっているデータセンター向けハードウェア分野でより大きな地位を築くことを目指すとしている。