シリコンウェハメーカーのSUMCOは、世界的な半導体需要の拡大を受け、総額2287億円を投じ、新たな300mmシリコンウェハ製造施設の建設ならびに子会社での増設を決定したことを発表した。
今回の投資を決定した背景には、最先端プロセスに対応するシリコンウェハへの技術ならびに品質に対する要求は厳しくなっており、そうした要求を満たすウェハ製造ラインの構築には、従来よりも高精度・高性能な結晶成長・加工装置や検査装置などの設備を導入する必要があるとの判断があるという。
今回の2287億円の投資内訳としては、SUMCO九州事業所に新たな製造施設を新設することによるに増産に2015億円(内訳は、建屋・ユティリティ設備に786億円、ウェハ製造設備に1229億円)、子会社のSUMCO TECHXIVの製造施設増築に272億円(内訳は、建屋・ユーティリティ設備に166億円、ウェハ製造設備に107億円)としている。
2022年より建屋の建設およびユーティリティ設備の設置を始め、2023年より300mmウェハ製造設備を導入の上、順次段階的に生産を開始し、2023年内にSUMCO TECHXIVの設備投資を完了し、2024年内にSUMCO九州事業所の製造設備搬入を完了する計画としており、需要に応じて逐次増産していき、フル生産は2025年ごろになる見込みである。
今後の逐次増産については、経済合理性のある価格と従来の長期売買契約(2~3年)よりも長期間の契約に応じる顧客に対する供給を優先するとしており、増産規模については顧客との契約の関係で非開示だが、主要顧客との5年間契約で、納入価格も納入量もすでに決まっているという。
このほか、同社は、台湾など海外生産設備についても市場の需要を見ながら段階的な増産を検討しているという。また、今回の投資額2287億円のうち約1280億円は新株式発行で調達し、残りは自己資金で賄うとしている。
なお、シリコンウェハの市場シェアでSUMCOは24~25%で2位とされているが(1位は信越半導体で31~32%)、3位のGlobalWafers(17~18%)が同業5位のSiltronic(元Wacker Chemie)を買収することを2020年に発表しており、2021年中に買収手続きを終える予定で、両社のシェアを合算すると26~28%でSUMCOを抜くことが予想されており、今回の増産がシェア2位の座を守ることにつながることが期待される。