グローバルエレクトロニクスサプライチェーンの業界団体「SEMI」は2月2日(米国時間)、SEMI Silicon Manufacturers Group(SMG)によるシリコンウェハ業界の分析結果をもとに、2020年のシリコンウェハ市場は、前年比横ばいの111億7,000万ドルとなったが、出荷面積は同5%増となる124億700万平方インチとなり、2018年に記録した過去最高水準に近い結果となったと発表した。
SEMI SMG会長でShin-Etsu Handotai Americaの副会長でもあるニール・ウィーバー(Neil Weaver)氏は、「2020年のシリコンウェハの出荷面積は、新型コロナウイルスによる影響の中で、300mmウェハの継続した需要と下半期の旺盛な需要回復により増加した」と述べている。
2021年のシリコンウェハ市場は成長の可能性
SEMIは、2020年12月に開催したSEMICON Japan 2020において、今後のシリコンウェハの出荷額について、2020年は119.6億ドル(今回発表された実績値より7.6億ドル多い)、2021年は126.8億ドル、そして2022年を139.0億ドルと予測していた。
2021年に入って、車載半導体の供給不足が話題になっているが、その実、多くのアプリケーション分野で供給不足で生じ、半導体価格の高騰が始まっている。一方でフル稼働を続けているファウンドリも積極的に300mmウェハの先端プロセスを中心とした設備投資を進めているため2021年のシリコンウェハ市場は成長する可能性が高いとみられる。
しかし、2020年12月、台GlobalWafersが独Siltroicの買収を発表。買収手続きは2021年に完了する予定で、そうなると業界トップの信越半導体、2位のSUMCO、そしてGlobalFoundries+Siltronic連合の3社が市場シェア3割前後でほぼならぶこととなり(残りの10%程度はSK Siltron)、激しいトップ争いが繰り広げられる可能性がでてくる。
一方、取り残されたSK Siltronは、すでに200mm未満のウェハ製造をすべてやめて300mmウェハの製造に注力する方針を示しており、新たなウェハ製造工場の建設に向けた検討を進めているという噂が韓国半導体業界関係者の間では飛び交っているようだ。
なおSK Siltronは、2020年にSiCウェハ事業をDuPontから買収。Siに次ぐビジネスの柱にしようとしており、SKグループとしても韓国のSiCデバイスベンチャーに出資するなど、SK Hynixを中心にSKグループとして車載SiCのエコシステム構築を目指しており、シリコンウェハではなく、そちらに活路を見出す可能性もある。