IDC Japanは10月27日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック下における国内企業のITシステムの開発体制に関する調査を行い、その結果を発表した。同調査では企業のITシステム部門の開発の管理者と担当者を対象としたアンケート調査を2020年8月に実施し、435社から有効回答を得た。
COVID-19による緊急事態宣言期間中(2020年4月7日~5月25日)に、在宅勤務に切り替えてフルリモート開発を行った企業は34.9%、出社日数を減らし在宅からのリモート開発とオフィスでの開発を併用していた企業は25.7%となり、約60%の企業が在宅からのリモート開発を実施していたことになるという。
緊急事態宣言解除後は在宅からのフルリモート開発を行っている企業が22.5%、リモート開発とオフィスでの開発を併用している企業が31.5%となり、COVID-19感染拡大前と同じように通常通りの体制で開発を行っている企業は23.4%になっている。
リモート開発を実施している企業に対して、COVID-19感染拡大前の通常の体制による開発と感染拡大後のリモート開発による開発生産性について質問を行い、在宅によるフルリモート開発を実施した企業では48.8%が感染拡大前よりも開発生産性が低下したと回答。
うち25%以上低下した企業は16.7%となった一方で、リモート開発とオフィスでの開発を併用している企業では63.9%が感染拡大前よりも開発生産性が低下したと回答している。そのうち25%以上低下した企業は26.2%となっており、フルリモート開発よりもオフィスへの出社と併用したリモート開発の方が生産性は低下していることがわかるという。
在宅によるリモート開発の課題について質問したところ、エンジニア間のコミュニケーション不足による進捗の遅れ、各エンジニアの進捗やタスクの状況の把握のしづらさ、要件定義/設計/変更などの調整の難しさが高い回答率となっている。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティのグループマネージャーである入谷光浩氏は「リモート開発による開発生産性を向上させるためには、細かい調整までできるコミュニケーション環境と進捗やタスクの共有環境の整備が必須である。また、週に数回の出社を義務付けるなどの中途半端なリモート開発体制にすると逆に開発生産性の低下を招く恐れがあるので注意する必要がある」と述べている。