IDC Japanが4月15日に発表した、国内IoT市場産業分野別予測とユースケース別の事例考察によると、2019年の国内IoT市場におけるユーザー支出額は7兆1537億円となる見込みであり、その後2019年から2024年には年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)12.1%で成長し、2024年には12兆6363億円に達するという。。

  • 国内IoT市場の支出額及び前年比成長率の予測

主要産業分野(13業種)別にIoT市場を見ると、2019年時点で個人消費者以外において支出額が多い産業は、組立製造、プロセス製造、官公庁、公共/公益、小売、運輸。製造業の支出額が大きい理由として、国内ではGDPに占める製造業の割合が大きく、また国策として製造業におけるIT/IoTの利用を推進していることなどが関係しているという。

さらに、社会インフラの老朽化対策や交通システムの高度化施策の拡大、スマートグリッドに対する支出の急速な増加、サプライチェーンをまたぐ形でのIoT利用の広がりなどが、これらの産業の支出額を押し上げていると同社は見ている。

インダストリー分野のIoTに加えて、個人消費者のIoT支出額規模についても高い成長性が見込まれ、2024年にはスマートホーム(家電)やスマートホーム(オートメーション)といったユースケースが牽引し、組立製造に次いで2番目に大きい市場になるとのこと。

また、農業フィールド監視、小売店舗内リコメンド、院内クリニカルケア、スマートグリッド/メーター、EV充電設備管理、テレマティクス保険なども2019年から2024年にかけてCAGR 20%前後の高い成長を期待できるという。

  • ユースケース別に見た2019年の支出額及び2019年~2024年のCAGR予測

IDC Japan コミュニケーションズのシニアマーケットアナリストである鳥巣悠太氏は、「企業のビジネス競争の構図は『同一産業の企業同士』の競争から『さまざまな産業の企業が形成するエコシステム同士』の競争へと変化している。企業は同一産業の競合企業との競争は今後も継続しなければならない一方、そうした従来の競争相手と必要に応じて連携し、たとえば複数社間で社内業務の合理化などを協調的に進めることで、産業全体として各企業の競争力の底上げを図ることで外部エコシステムに対抗することが肝心である』と見ている。

また、「ベンダーは、特定企業に閉じた形のみでIoTやDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するのではなく、併行して同一産業内のIoTデータ、基幹システムのデータ、知見/ノウハウなどの集約を可能な限り推進することで、今後加速するとみられるエコシステム間の競争激化に備えるべきである」と述べている。