IDC Japanは4月8日、IoT(Internet of Things)プロジェクトを推進している国内企業および団体の経営層、事業部門長、部課長、係長、主任クラスを対象に1月にアンケート調査を実施し、564の組織から得られた回答をもとに「2020年 国内IoTエッジインフラストラクチャ調査:インテリジェントエッジ利用状況」を発表した。

IDCでは、IoTの基本アーキテクチャとして「IoTの3層モデル」を定義しており、これを基に「IoTコアインフラ」と「IoTエッジインフラ」を定義し、さらにIoTエッジインフラを「インテリジェントエッジ」と「それ以外のIoTエッジインフラ」に分類している。

  •  IoTの3層モデル

    IoTの3層モデル

インテリジェントエッジは、データ分析などの高度なコンピュート処理を可能にするIoTエッジインフラを指し、「それ以外のIoTエッジインフラ」は、IoTゲートウェイやルータなどデータ分析を行わないIoTエッジインフラを指しており、調査ではIoTインフラユーザーにおけるIoTエッジインフラの利用形態およびベンダー選定基準について調査した。

この調査によると、IoTエッジインフラにおける制御や分析処理で最も重要なものは、現在は「OT(制御システム)の監視」、3年後は「データ分析(AIを利用した深層学習)」が最上位項目となった。現在、回答者の4割弱がデータ分析処理と回答しており、3年後にデータ分析処理を選択する割合は増加し、回答者の半数近くになった。

  • IoTエッジインフラで行っている最も重要な処理

    IoTエッジインフラで行っている最も重要な処理

データ分析処理をIoTエッジインフラで行う理由については「データ処理が速い」が最上位項目となったほか、分析処理で使用するデータに関しては3年後は「画像データ(動画)」が最上位項目となった。AIによる画像認識精度の向上が進む中、IoTエッジインフラにAI技術を搭載し、動画をデータ分析に活用するケースが増えてくると予測している。

エンドポイントから分析用データを収集するタイミングについては「常時(ストリーミング)」が「現在」「3年後」ともに最上位項目となったほか、収集したデータをIoTエッジインフラで保存する期間については「1年以上」が同様に最上位項目となった。

また「現在」と「3年後」を比較し、3年後の収集タイミング、保存期間として、それぞれ「常時(ストリーミング)」「1年以上」を選択した割合が多い結果となり、データ収集をストリーミング方式で行うケースが増えたことに加え、データ保存期間がより長くなることから、IoTエッジインフラの分析処理で使用されるデータ量が今後増大すると考えられ、インテリジェントエッジのニーズ拡大につながると同社は予測している。

また、最も重要な処理を行うIoTエッジインフラの採用意向に関する質問では、現在は回答者の5割以上が汎用サーバを選択し、3年後の採用意向では汎用サーバを選択する割合は減少し、IoTエッジ専用製品とクラウドサービスベンダーのIoTエッジサービスを選択する割合が増加したという。

同社のエンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーである下河邊雅行氏は「IoTインフラベンダーは、インテリジェントエッジの製品ラインアップを強化し、自社のIoTインフラビジネス拡大につなげていく必要がある」とコメントしている。