IDC Japanは6月17日、2018年の調査実績をもとに2019年~2023年の国内クライアント仮想化関連市場について予測を行い、その結果を発表した。国内クライアント仮想化ソリューション市場は2023年には8858億円まで拡大し、2018年~2023年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.2%と予測。市場拡大の促進要因は、インテリジェントワークスペースの進化、法規制/ガイドラインによるIT投資拡大、Windows 7/Windows Server 2008のサポート終了によるVDI/SBC需要の拡大だという。

  • 国内クライアント仮想化ソリューション市場、2018年~2023年

    国内クライアント仮想化ソリューション市場、2018年~2023年

2019年は、デジタルワークスペースがインテリジェントワークスペースへと進化/深化する年と想定しており、アナリティクス、RPA(Robotic Process Automation)などのAI(Artificial Intelligence:人工知能 )技術、チャット/メッセンジャー、次世代セキュリティやクラウドサービスなどの実装/連携が進み、インテリジェントワークスペースへ進化すると推測している。

VDI環境における生体認証、電子サイン、音声/動画も実用段階に入り、多くのユーザー企業で活用され、本格的に実用化されるSD-WANや2019年にパイロットサービスが予定されている5Gなどのネットワーク環境の進化も、特にDesktop as a Service事業者には促進要因になるという。

このような市場拡大に伴い、2023年のクライアント仮想化利用ユーザー数は772万人まで拡大すると予測し、クライアント仮想化の産業分野別ユーザー数においては、2018年では先進的IT投資が最も進んでいる「金融」のユーザー数が最も多く、2023年には139万人まで拡大すると推測。その次に利用率が高い産業分野が「官庁/自治体/教育」「製造」で、クライアント仮想化の実装が進むと想定している。

2018年~2023年における年間平均成長率が、7.3%のクライアント仮想化サービス(Desktop as a Service)では、プライベートクラウドDesktop as a Serviceに加え、エンタープライズクラウドDesktop as a Service、パブリッククラウドDesktop as a Service、ハイブリッドクラウドDesktop as a Serviceなど多様化が進むという。

2018年では、プライベートクラウドDesktop as a Service市場が636億円と最も大きく、2023年には874億円まで拡大すると予測する一方で、パブリッククラウドDesktop as a Service市場の年間平均成長率は最も高く、25.8%で推移すると推測している。

同社のPC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストである渋谷寛氏は「2019年は、デジタルワークスペースがさらに進化し、インテリジェントワークスペースへ発展するであろう。セキュリティ/認証系のクラウドサービス、ストレージサービスなどの新技術を見極めながら自社エンドポイント環境に融合させることが求められている」と述べている。