米MicroStrategyはこのほど、アナリティクスプラットフォームの最新版「MicroStrategy 2019」を提供開始した。これに合わせてマイクロストラテジー・ジャパンは3月22日、プレス向けの説明会を行った。説明会では、マイクロストラジー・ジャパン プレジデント 印藤公洋氏が、MicroStrategy 2019を紹介するとともに、同社のビジョンについて説明した。

  • マイクロストラジー・ジャパン プレジデント 印藤公洋氏

ゼロクリックで瞬時に必要な情報が得られる「HyperIntelligence」

MicroStrategy 2019の目玉機能となるのは、ゼロクリックで必要な情報を提示させることができる「HyperIntelligence」。印藤氏は同機能について「今後はこの線に沿って製品開発を強化していく。次の10年の大きなパラダイムシフトになる」と自信を見せる。HyperIntelligenceは、「HyperCard」「HyperVoice」「HyperVision」などの機能から構成されている。

HyperCardは、BIツールやメールなどの画面に表示された顧客や製品などの文字情報にカーソルを置くだけで、それに関する詳細情報やKPIなどがカード形式で表示される機能。ブラウザの拡張機能として提供されるため、Outlook、Salesforce.com、Office 365、Power BIなどのWeb画面やWebアプリ画面上で利用することができる。現在対応しているWebブラウザはGoogle Chromeのみだが、今後はFirefoxなど他のWebブラウザにも順次対応していく予定だという。

  • HyperCardの概要。文字にカーソルを置くだけで詳細情報がカード形式で表示される

HyperCardsを利用するには、文字情報とカードに表示させたい詳細情報をデータベースの項目から事前に選んで設定する必要があるが、設定後、HyperCardsの機能を有効にすることで、HyperCardsに登録されている文字情報が強調表示されるようになり、そこにカーソルを合わせると、詳細情報が記載されたカードが表示される。

  • HyperCardはExcel Onlineでも利用可能

HyperVoiceは、MicroStrategyをAlexaやGoogle Homeなどのスマートスピーカーに統合することで、画面を開くことなく声で操作・確認が行える機能。自動車を運転する必要がある営業担当者などの利用を想定している。

HyperVisionは、モバイルデバイスを利用して画像認識することで、製品のスキャンや在庫確認を行うことができる機能。説明会では、建物にタブレットをかざすことで、坪単価やオーナーなどの詳細情報を表示させる事例なども紹介された。

  • HyperVisionの利用イメージ

「企業は毎日何千もの意思決定を行っている。意思決定にかける期間が長いほど戦略的な意思決定であるといえる。従来のBIツールは数日・数時間単位での意思決定に役立つものであった。しかし、HyperIntelligenceは、各事業分野の担当者が、その瞬間にどういう行動をすべきかという意思決定を短時間でサポートする。どの企業も戦略は持っているものの、実行力が弱いという傾向がある。HyperIntelligenceは、戦略を立てるよりも、実行を促すための機能として利用してほしい」(印藤氏)

HyperIntelligenceの価格は、MicroStrategyを導入していない場合、1ユーザー当たり700ドル(税別)から。MicroStrategyのプラットフォームをすでに利用している場合は、1ユーザー当たり300ドル(税別)からとなっている。なお、CPUコアライセンスでの提供もあり、1コア当たり3万5000ドル(税別)となっている。

すべての人にインテリジェンスを

印藤氏は、MicroStrategy 2019のコンセプトとして、HyperIntelligenceのほかに「Federated Analytics」「Transformational Mobility」をキーワードとして紹介した。

Federated Analyticsは、MicroStrategyをプラットフォームとし、好みのツールを利用できるというもの。MicroStrategy 2019で一元管理されたデータと、Power BIやTableau、QlikをはじめとするBIツールとを容易に接続できるため、ユーザーの好みのBIツールをさらに強化した形で利用することが可能だ。

  • Federated Analyticsの考え方

Transformational Mobilityは、現場の担当者が洞察からすぐにアクションへ移ることができるよう、すべての標準的なモバイルデバイスでさまざまなビジネス機能や役割に最適化された機能を提供していくものだ。

  • Transformational Mobilityの概要

印藤氏は説明会の最後に「データドリブンなビジネスが日本だけでなく世界的な流れになってきている中、今後さらにBIの重要性は増していくだろう。われわれは、分析担当者ではない一般のビジネスユーザーも含めたすべての人に対するインテリジェンスを提供していきたい」とビジョンを語っていた。