富士通は11月27日、多様な働き方の実現と従業員のワークライフバランスの向上に向けて、AIを活用した業務内容の可視化を実現する新サービス「FUJITSU Workplace Innovation Zinrai for 365 Dashboard」の販売を開始した。

両社は2017年12月に開始されたAI分野での戦略協業において、働き方改革の領域でのソリューションを共同で開発してきた。新サービスは、その第1弾としてマイクロソフトの統合ソリューション「Microsoft 365」を利用することで蓄積されたメールやスケジュールなどのビッグデータやPCの利用状況をAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」で解析し、業務内容の分類や可視化を行う。

具体的には、Microsoft 365を利用することで「Microsoft Azure」に蓄積されたメールや文書のタイトル、スケジュールなどのビッグデータおよびPCの利用状況を、富士通研究所の研究成果が集約されたZinraiの自然言語処理技術と知識処理技術を用いて解析し、業務内容を分類し可視化する。

どのような仕事にどれだけの時間を費やしているかを把握するため、業務内容を「作業」「対象」「テーマ」の3つの角度から解析するほか、マイクロソフトの対話型データ視覚化ツール「Microsoft Power BI」との連携により、解析結果を可視化し、多角的な分析を可能としている。

  • 各解析データの画面イメージ

    各解析データの画面イメージ

これにより、現状の業務内容における課題を具体的に把握できることに加え、可視化された結果を活用することで生産性向上に取り組み、効果を定量的に把握・検証することが可能になるなど、ユーザーの生産性や業務の質の向上を実現するという。

同時に、導入支援や働き方改革に向けたシナリオ作成のコンサルティングなどの各種サービスと合わせ、新サービスの導入から継続的な効果のモニタリングまで、ユーザーの働き方改革をトータルに支援するとしている。

同社は、ソリューション開発に先立ち、2018年7月からAIによる日々の業務の分類・可視化の精度向上を図る社内実践を開始し、Zinraiを活用することで従業員約2000人のMicrosoft 365のデータやPCの利用状況から、各従業員がどのような作業を、どのような目的で、誰と行っているかを軸に業務内容を分類し、どのような仕事にどれだけの時間を費やしているかを可視化し、さらにダッシュボードで分析、評価した。

  • 業務の可視化イメージ|

    業務の可視化イメージ

先行トライアル部門では、課題として見えてきた会議やコミュニケーションスタイルの見直しに取り組み、1人あたり平均で43分/日の時間を創出。これにより、企画業務などに注力することが可能となり、業務全体のうちコア業務の割合を16%増加させたという。

今後、新サービスとマイクロソフトのコミュニケーション状況や時間の使い方を分析する「Microsoft Workplace Analytics」と連携させることで、会議や日常のコミュニケーションの質を高め、さらなる働き方改革の促進を支援していく考えだ。

また、2020年までに新サービスにおける関連ビジネスを含め、500億円規模のビジネスを開拓することを目指すとともに日本市場への提供を皮切りに、順次グローバルに展開していく。価格は1IDあたり月額1200円~。