島根県松江市と日本ユニシスは、松江市に関連する地域データをAI技術(機械学習)によって統合し、IoT技術を活用した「人流解析サービス JINRYU」から得られる観光客の行動及び属性データと組み合わせて分析することで観光施策の立案を支援する実証実験を、8月29日より開始することを発表した。

  • AIで統合された地域データとIoT技術を活用した観光マーケティングの実証実験

    AIで統合された地域データとIoT技術を活用した観光マーケティングの実証実験

この実証実験は、AIによるデータ統合の半自動化及び統合されたデータとIoTを組み合わせた分析が、現状把握の精度向上や実施した観光施策の効果測定、観光スポットの来場予測に有効であることを検証するもの。

国宝松江城や宍道湖、松江歴史館などの豊かな観光資源を有する松江市は、同市に関連する統計データや統計関連図書の情報のオープンデータ化、さらには「松江G空間ミュージアム」の開設など、データを活用した地域活性化の先進的な取り組みを推進してきた。また、日本ユニシス総合技術研究所では、「幸福度ランキング」や美術館の来館者分析といった、地域の見える化に取り組んできた。

今回の実証実験では、松江市が持つ観光資源や情報発信力と日本ユニシスの技術力を組み合わせ、データを活用した観光マーケティング方法の確立を目指すという。

実証実験は、8月29日〜12月20日の期間、松江市内にて実施される。内容は、松江市のオープンデータやタウン情報Webサイト、SNSデータなどさまざまな機関からWeb上で発信されている同市の地域データと、日本ユニシスの「人流解析サービスJINRYU」によって採取された松江歴史館内の行動および属性データを、地域データ収集基盤によって統合し、活用できる形式に変換する。

なお、変換にはAIを活用し、収集されたデータの構造、単語表記の自動的な統合を実施している。今回は、それらの変換されたデータをデータ分析者が分析して施策立案者に提供するということだ。

松江市と日本ユニシスはこの実証実験を通じて得られた知見をもとに、地域データの収集・活用と施策の効 果測定を円滑に実行できる仕組みをつくり、データに基づく観光マーケティングの継続した実施を目指す。

さらに、一般企業や個人からの公開データやIoTによって得られたデータを組み合わせ、施策立案や機会創出へ活用することが期待されることから、観光分野のみならず、防災や少子化などの社会課題にも活用が可能だとしている。