日本ヒューレット・パッカード(HPE)は5月22日、都内で記者会見を開き、次世代の「HPE Nimble Storage」を発表した。

  • 「HPE Nimble Storage」
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  • 「HPE Nimble Storage」

NVMeとSCMに対応する「HPE Nimble Storage」

今回、従来のオールフラッシュストレージ「AFシリーズ」、ハイブリッドストレージ「CSシリーズ」、セカンダリフラッシュストレージ「SFシリーズ」を刷新。

AFシリーズは、6TB(テラバイト)の物理容量からスタート可能なエントリーレベルの「AF20Q」「AF20」、最大3倍の価格性能向上を実現したミッドレンジの「AF40」「AF60」、4PBの有効容量を1ms以下のレイテンシで実現するハイエンドの「AF80」の5製品。価格は税別でAF20Q(物理容量5.76TB)の最小構成で849万2700円。

  • AFシリーズ

    AFシリーズ

CSシリーズとSFシリーズは新たにハイブリッドストレージ「HFシリーズ」とし、物理容量11TBからスタートできる「HF20H」「HF20」、2PBの有効容量を持つ「HF20C」、最大1.5倍の価格性能向上を実現する「HF40」、パフォーマンスを従来比65%向上した「HF60」の5製品となり、インライン重複排除機能(HF20C除く)を実装。価格は税別でHF20H(物理容量11TB)の最小構成で672万5400円。

  • HFシリーズの概要

    HFシリーズ

従来は、CSシリーズとセカンダリフラッシュを提供するSFシリーズは別々の製品群だったが、HFシリーズはプライマリワークロードでフラッシュライクな性能を提供することに加え、セカンダリワークロードを実行する機能を備えた費用対効果の高いバックアップを実現するという。

  • HFシリーズの概要

    HFシリーズの概要

また、オールフラッシュアレイを対象に有効容量効率を実現する「HPE Store More Gurantee」を備え、価格性能比を3倍にまで高めることでコスト面での優位性を持つという。さらに、リアルタイム分析のアプリケーションに従来以上の高性能が求められる中、低レイテンシのストレージに対する必要性も増していることから、NVMe(NVM Express)とSCM(Storage Class Memory)をサポート。

加えて、ユーザーがオールフラッシュストレージを検討する際、TCO(総所有コスト)を削減するためには容量効率が重要となる。そのため、HPE Store More Guranteeは他社のオールフラッシュストレージを上回るTB当たりの有効容量を提供し、他社のオールフラッシュストレージ製品よりも優れたストレージ効率を提供できない場合、同社はその差に相当するストレージを販売時に無償で提供するという。

米ヒューレット パッカード エンタープライズ ハイブリッドIT事業統括 HPE Nimble事業部 プロダクトマネージメント シニアディレクターのアシッシュ・プラカーシュ氏は、新製品について「投資を保護するHPE Store More Guranteeを有するため、確信を持って購入を可能としており、将来にわたり投資を担保し、優れた価格性能(「AF40」「AF60」)の向上に加え、最も効率のよいハイブリッドアレイも提供できる」と述べた。

  • 米ヒューレット パッカード エンタープライズ ハイブリッドIT事業統括 HPE Nimble事業部 プロダクトマネージメント シニアディレクターのアシッシュ・プラカーシュ氏

    米ヒューレット パッカード エンタープライズ ハイブリッドIT事業統括 HPE Nimble事業部 プロダクトマネージメント シニアディレクターのアシッシュ・プラカーシュ氏

同氏は、NVMeとSCMへの対応に関して「Nimble OSは従来のスピンドルなどCPUの性能に制約されるOSのため、CPUの高速化に対応する。これまでSASとフラッシュ、NVMeとフラッシュの組み合わせは、他社ベンダーにもメリットを享受してきた。しかし、画期的な向上が図れるのはNVMeとSCMの組み合わせであり、NVMeとフラッシュの組み合わせよりも10倍以上速くなる」と説明した。

  • NVMeとSCMの概要

    NVMeとSCMの概要

新製品はNVMeのSSDを搭載しているわけではなく、シャーシがNVMeに対応しているほか、SCMについては、まずはキャッシュ用途、DRAM用途を経て、全体に採用していくという。現状ではコスト面に課題を抱えているため、今後、1~2年間で徐々に価格が下がるにつれて、実用的に使えるのではないかとの認識を示していた。

  • NVMeとSCMのロードマップ

    NVMeとSCMのロードマップ

HPE Store More Guranteeとは

HPE Store More Guranteeについては、日本ヒューレット・パッカードハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 カテゴリーマネージャーの関根史和氏が次のように説明した。

「基本的には、他社製品よりも有効容量効率が優れたものを提供することを約束するものとなる。オーバーヘッドが小さく、有効容量も重複排除や圧縮の技術で最大に引き出せる。他社では、顧客にデータ削減率の話をする。もちろん大切な事項ではあるが、使う容量をいかに大きく確保できることが重要だ。木を見て森を見ずの状態から脱却する」

  • 日本ヒューレット・パッカードハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 カテゴリーマネージャーの関根史和氏

    日本ヒューレット・パッカードハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 カテゴリーマネージャーの関根史和氏

具体的には、同じ物理容量、同じデータ削減率でも実効容量比率により有効容量は異なるほか、同じ物理容量で低いデータ削減率でも実効容量比率がよいことで有効容量が多いことがあるという。また、同じ有効容量でデータ削減率が低くても実効容量比率により物理容量(コスト、スペース、電力)が異なるとしている。

  • HPE Store More Guranteeの概要

    HPE Store More Guranteeの概要

  • HPE Store More Guranteeは高い容量効率を実現するという

    HPE Nimble Storageは高い容量効率を実現するという

同氏は「AIを利用した予測分析を行う『InfoSight』のデータにより、データ削減率を把握できるため、これに基づいて正しいサイジングをしていく」と、強調した。

日本ヒューレト・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 カテゴリーマネージャーの本田昌和氏は「Nimble Storageが提供しているサービスは次世代型のハイブリッドITを実現する鍵となり、ストレージビジネスを加速・強化するものだ。HPEとNimbleの技術を組み合わせて新しい価値を提供し、InfoSightを他のポートフォリオ全体に適用していくことに取り組んでいる。また、チャネルパートナーとの取り組みでは、パートナー向けプログラム、トレーニング、販売支援策など他社にはないスケールを持つ。われわれのストレージ戦略はPredictive(予測)、Cloud Ready(クラウド対応)、Timeless(永続性)の3つであり、大きな取り組みの1つとして1月にInfoSightが3PARに対応したほか、製品・組織横断のInfoSight展開プログラムオフィスを始動させ、今後も対応製品を拡充していく」と抱負を述べていた。

  • 日本ヒューレト・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 カテゴリーマネージャーの本田昌和氏

    日本ヒューレト・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 カテゴリーマネージャーの本田昌和氏