ベルギーimecは2月12日(米国時間)、ルネサス エレクトロニクスと共同で、IoTアプリケーション向けに0.8V電圧駆動の低消費電力Bluetooth 5トランシーバを開発したと発表した。
同成果の詳細は2018年2月11日から米国サンフランシスコで開催された最先端半導体チップの研究開発成果に関する国際会議「2018 IEEE international Solid-State Circuits Conference(ISSCC 2018)」にて発表された。
IoTの本格普及により、めったにヒトがメンテナンスに訪れない場所に置かれたIoTデバイスなどのバッテリーの長寿命化が求められるようになっている。また、無線トランシーバデバイスの低消費電力化が可能になることで、使い捨てセンサやウェアラブルなどの新たなアプリケーションの普及に弾みがつくことも期待されている。
今回の両社の研究は、こうした課題の解決を目指したもので、高いRx性能(FoM)と0.8Vの電源電圧を両立したことが特長である。0.8V駆動により、従来ソリューション比で、バッテリ寿命を50%延長することが可能になるほか、電源管理ユニットの複雑さも軽減できるようになるため、エナジーハーベスティング(環境発電)などの活用も期待できるようになるという。
具体的に開発されたトランシーバは、新たに開発されたphase-tracking Rx、全デジタルPLLベースのデジタルTx、PHYレイヤのデジタルベースバンドで構成されており、その感度は-95dBm、消費電力は2.3mW(非デューティサイクル)となっている。また、同試作チップのコアエリアの面積は0.8mm2であり、40nm CMOSプロセスで製造された。
なお、imecの姉妹機関である蘭Holst CentreにてIoTプログラムディレクターを務めるKathleen Philips氏は「同トランシーバは、ルネサスと共同でIoT向けに開発したものである」と、共同研究の成果を強調しているほか、電源電圧を引き下げることが、IoT向けレシーバ開発のロードマップとして、重要な要素の1つに挙げられるとも説明している。