富士通は1月18日、手のひら静脈認証の大規模な社内活用を2018年より順次拡大していくと発表した。利用用途は国内の従業員約8万人の仮想デスクトップのログイン認証と入退場ゲートの従業員証明認証となる。

仮想デスクトップのログイン認証では、PC端末に内蔵、もしくは外付けされた富士通フロンテック製の手のひら静脈認証装置「FUJITSU 生体認証 PalmSecure(パームセキュア)」に手のひらをかざし、パスワードなどの入力の手間なく、瞬時に正確なログイン認証を行う。複製が困難な手のひら静脈を認証に活用することで、同社が推進するテレワークなどの働き方改革に適したセキュリティ強化や利便性向上が図れるという。

また、今後は仮想デスクトップへのログインだけでなく、多様な業務アプリケーションの認証においても、手のひら静脈認証を導入していくことで、さらなる業務効率化に取り組む考えだ。

  • 仮想デスクトップへのログイン認証

    仮想デスクトップへのログイン認証

入退場ゲートの従業員証明認証では、富士通ソリューションスクエア(東京都大田区)と東海支社(愛知県名古屋市)の2拠点の事業所において、約5200人の従業員を対象に手のひら静脈認証で通行可能な入退場ゲートの実証実験を行う。手のひらをかざすだけの簡単な動作で速やかな認証を行い、従来の従業員カードをかざす認証に比べて利便性向上とセキュリティ強化の実現を目指す。本実証実験の結果を踏まえて、他事業所のゲートや扉の認証に適用拡大を検討していく。

  • 入退場ゲートでの認証

    入退場ゲートでの認証

今回、仮想デスクトップのログイン認証、入退場ゲートの認証ともにPalmSecureを認証装置として活用し、同社のクラウドサービス「FUJITSU Cloud Service K5」上にシステムを構築。いずれも、手のひら静脈の認証・管理基盤として、「FUJITSU Security Solution 本人認証基盤 AuthConductor Server(オースコンダクターサーバ)」を活用し、あらかじめ登録した従業員の手のひら静脈のデータとPalmSecureで読み取ったデータを照合する。

富士通研究所の高精度な画像補正技術により、登録済みの大規模な手のひら静脈データの中から個人のデータを瞬時に照合し、確実かつ速やかな認証を可能としている。

なお、仮想デスクトップのログイン認証にはPCでの生体認証を可能にする「K5 認証サービス 生体認証オプション」を活用し、入退場ゲートの認証には、富士通ネットワークソリューションズ製の入退室管理システム「Stronguard(ストロンガード)」に手のひら静脈認証機能を対応させることで実現している。今回得た社内実践のノウハウをもとに、顧客への手のひら静脈認証ソリューションの拡大を図る考えだ。