11月13日(米国時間)、エネルギー消費効率の良いスーパーコンピュータ(スパコン)システムのランキングである「Green500」の2017年11月版が、スパコン性能ランキング「TOP500」の発表に併せて公開された。

それによると、今回のランキングトップ10において、日本勢は上位1-3位を独占したほか、5-8位にもランクインし、上位10システム中7システムを占めた(前回6システム)。

トップとなったのは、ExaScalarやPEZY Computingが開発した理化学研究所(理研) 情報基盤センターの「Shoubu(菖蒲) system B」で、1Wあたりの性能は17.009GFLOPS。ZettaScaler-1.6とXeon E5-2618で構成されていた前世代のShoubu(菖蒲)から、最新世代となるZettaScaler-2.2へとアップグレード(CPUもXeon D-1571へと変更)することで、性能向上を実現したようだ。

2位は、ExaScalarやPEZY Computingが開発した高エネルギー加速器研究機構(KEK)の「Suiren(睡蓮)2」で16.759GFLOPS。こちらもShoubu system B同様に前世代の「Suiren(睡蓮)」では、ExaScaler-1.4を採用していたものを、最新世代のExaScaler-2.2へとアップグレードを実施することで、性能向上を果たしたようだ。

3位も、やはりExaScalarやPEZY Computingが開発したZettaScaler-2.2採用の「Sakura」で16.657GFLOPSとなっており、1-3位まですべてがベンチャー企業体であるPEZY/ExaScalerによるものとなった。また、PEZY/ExaScalerは、5位にランクインした海洋研究開発機構(JAMSTEC)のスパコン「Gyoukou(暁光)」の開発も担当しており、上位5システム中、4システムを同社のシステムで占めたこととなる(GyoukouはTOP500でも4位にランクインしている)。

JAMSTECが導入した暁光(Gyoukou)システムの全景 (出所:JAMSTEC Webサイト、写真:ExaScaler)

このほかのシステムとしては、すべてNVIDIAのGPUを用いたシステムで、4位がNVIDIAが保有する社内スパコン「SaturnV」に最新世代のGPU「Volta」を搭載した「 DGX SaturnV Volta」で15.113GFLOPS。6位が東京工業大学の「TSUBAME 3.0」(NVIDIAのTesla P100 SXM2を搭載)で13.704GFLOPS。7位が産業技術総合研究所(産総研)の「AIST AI Cloud(AAIC:産総研AIクラウド)」(NVIDIAのTesla P100 SXM2を搭載)が12.681GFLOPS。8位が理研 革新知能統合研究センター(AIP)の人工知能(AI)研究用計算機システム「RAIDEN(Riken AIp Deep learning ENvironment) GPU subsystem」(NVIDIAのTesla P100を搭載)で10.603GFlops。9位が米ケンブリッジ大学の「Wilkes-2」(NVIDIAのTesla P100を搭載)で10.428GFLOPS。そして10位がスイスSwiss National Supercomputing Centre(CSCS)の「Piz Daint」(NVIDIAのTesla P100を搭載)で10.398GFLOPS(Piz DaintはTOP500でも3位にランクインしている)となっている。

2017年11月に発表されたGreen500の上位10システムの一覧 (出所:Green500 Webサイト)