国内のMVNOサービスの総契約回線数は2015年9月末時点で3,642万回線となり、2014年9月末の1,928万回線と比べて88.9%増加した。契約回線数はさらに増加を続け、2016年3月には4,000万回線突破が確実な情勢だ。MM総研が12月8日に発表した予測による。
2015年9月末時点の契約回線数を回線種別で分類すると、携帯電話(3G/LTE)が1,065万回線で全体の29.2%であり、BWA(WiMAXおよびAXGP)が2,567万回線で70.5%、PHSが10万回線で0.3%となり、2015年3月末時点に続いてBWAが最多だった。
BWAではWiMAX2+およびAXGPにおいて、MNOでもあるMVNO向けの回線数が大きく伸びたという。WiMAX2+回線ではKDDI(au)のWiMAX2+対応スマートフォンの契約回線数が増加しており、AXGP回線ではソフトバンクモバイル向けに提供するWireless City Planningの契約回線数が引き続き増加したとのこと。
携帯電話カテゴリにおいては、格安SIMと呼ばれる独自サービス型SIMの契約回線数が引き続き大きく伸びている。NTTコミュニケーションズやインターネットイニシアティブ(IIJ)、ビッグローブが市場を牽引した他、新勢力となるU-NEXTや楽天モバイル、ドコモ回線とau回線のマルチキャリア体制でサービスを提供するケイ・オプティコムがシェアを伸ばしている。
独立系MVNO事業者がSIMカードを利用して独自の料金プランで提供する独自サービス型SIMの回線契約数は、2015年9月末で405.8万回線だった。2014年9月末時点の230.5万回線と比べ、1年間で回線数が76.1%増加した。しかし、MNOでもあるMVNOを含むMVNO市場全体における構成比は11.1%に止まっている。
2015年の独自サービス型SIM市場は、SIMフリー端末の増加及び販売チャネルの拡大という2つの追い風が、普及拡大に大きく貢献したという。これまで国内で流通するSIMフリー端末は海外メーカーのローエンド・モデルが主流だったが、富士通やシャープ、京セラといった大手国内メーカーがミドルレンジの端末を相次いで発売した。海外メーカーでもASUSやファーウェイを中心にミドルレンジの端末がヒットしたという。
販売チャネルにおいては、大手家電量販店の取扱規模が拡大したとのこと。特に、ヨドバシカメラやビックカメラでは店頭に専用カウンターを設置し、これまで格安SIMの課題とされていた即日MNPに対応したことに加えて、ラインアップが充実したSIMフリー端末とセット提案することで、需要喚起に成功したとしている。
また、訪日外国人の増加に伴い、利用期間・利用可能容量を限定したプリペイドSIMの販売数が増加したとのこと。2015年度上半期(2015年4月~9月)では約40万枚を販売したと同社は見る。2020年のオリンピックへ向けて、さらなる需要の拡大を期待できるという。
独自サービス型SIM市場は2015年度下半期(2015年10月~2016年3月)も個人向け需要を中心として拡大すると同社は見ており、2016年3月末には510万回線に達すると予測している。また、2016年度下半期(2016年10月~2017年3月)からは、IoT(Internet of Things)分野における法人向け需要が活発化すると同社は予想する。
個人向け・法人向けともに引き続き需要は旺盛であり、独自サービス型SIMの市場は2017年3月末までに770万回線に成長すると同社は予測している。