情報通信研究機構(以下、NICT)は7月23日、英国情報通信庁が主催するテレビホワイトスペースの通信試験において、ロンドン市街地で40Mbps以上の移動体高速ブロードバンド通信と3.7kmの固定地点間通信に成功したと発表した。

テレビ放送に使用される周波数帯のうち、場所や時間に応じてテレビ放送に影響を与えずに利用できる周波数(ホワイトスペース)を二次利用して通信することが有効と考えられているなか、英国情報通信庁がホワイトスペースの本格的な制度化を視野に入れた通信試験を主催した。

無線機には、テレビ放送に影響を与えないよう、不要電波の発射について厳しい電波の質が求められ、データベースには刻々と変化するテレビ放送やラジオマイクの利用情報を自動的に取り込み、無線機の位置に応じた利用可能周波数と送信電力の提供などが求められた。

NICTが開発した英国情報通信庁パイロット向け周波数管理データベースの操作画面 資料:NICT

同通信試験は、急増する大容量の無線通信の需要に対応する方策の1つとして実施され、NICTは無線機とデータベースの両方の公募に参加した。

特に市街地では、刻々と変化するテレビ放送やラジオマイクといったさまざまな情報を考慮して、ホワイトスペースを利用する必要があり、データベースを用いることにより、テレビ放送に影響を与えずに通信することを可能にした。

ホワイトスペースを用いて移動体高速通信と固定地点間の通信を市街地で実施したことは、世界でも初めてであり、同試験でNICTが開発したデータベースは、英国情報通信庁の審査を経て認定を受けた。この結果は、英国をはじめとする世界各国のホワイトスペースの制度化に貢献することが期待される。