Analog Devices(ADI)は、高速光伝送ネットワーク(OTN)アプリケーションや高密度ラインカードのタイミング規格に対応した、プログラム可能でジッタを低減できるデュアルクロック変換IC「AD9559」を発表した。

同製品は、データ通信や次世代有線ネットワーク・アプリケーション、試験測定、高速データ収集装置、ビデオ・アプリケーション、無線基地局コントローラなどに適しており、同期イーサネットやSONET/SDH、1/10/100Gイーサネット、ファイバチャネルなど、低ジッタかつ柔軟な周波数変換機能が要求される有線通信アプリケーション向けに、様々な規格の周波数を同時にサポートする。また、あらゆる規格の周波数入力から、それに同期した最高1.25GHzまでの周波数出力に変換でき、出力ジッタは12kHz~20MHzの帯域積分値として400fs RMS(実効値)未満となっている。2つのタイミング同期用デバイスを、1つのICで置き換えられるので、プリント基板の占有面積を縮小でき、コスト低減もできる。

さらに、適応クロッキング機能によって、DPLL(デジタルPLL)をロックしたままで、DPLLの分周比を変更することが可能。これにより、ループのアンロックやチップを再プログラミングすることなく、出力周波数を0.1ppb以下の周波数分解能ステップで、公称出力周波数から±100ppmの範囲でダイナミックに調節できる。また、デュアルPLLアーキテクチャにより、完全に独立した出力クロックをそれぞれ生成できる。2つのDPLLは、それぞれ最大4系統のリファレンス入力のうちの1つに同期でき、各DPLLは2系統のクロックを生成する。このDPLLにより、外部リファレンス入力信号がもつ時間ジッタや位相ノイズを低減できる。

この他、デジタル制御ループ回路やホールド・オーバー回路によって、すべてのリファレンス系統が喪失したときも、クリーン(低ジッタ)で有効な出力クロックを連続的に生成できる。同じ回路を様々な異なるボード設計に適用できるので、必要な部品数を抑えられることと合わせ、システムコストの低減が図れる。

なお、動作温度範囲は-40~+85℃。パッケージは10mm角の72ピンLFCSP。価格は1000個受注時で19.26ドル。すでに量産出荷を開始している。