「キュレーション」とは?今知っておきたい旬キーワードをやさしく解説!

ソーシャルメディアマーケティングラボが、 なんとなく分かっているつもりでも、実はよくわからなくて「もやもや」 している?! 今話題のウェブマーケティング用語を分かりやすく解説!

第二回は「キュレーション」です。

用語説明:【キュレーション(curation)】

IT用語としては、インターネット上の情報を収集しまとめること。または収集した情報をつなぎ合わせて新しい価値を持たせて共有すること。語源は、博物館や図書館の管理者や館長を意味する「Curator(キュレーター)」が、館内の展示物を整理して見やすくするところからきている。(コトバンクより)

解説

現在、インターネット上にはありとあらゆる情報が溢れています。そのような状況下、注目を集めているのが、インターネット上の情報を、ユーザー独自の価値判断で整理する「キュレーション」です。

「受動」のマスメディアから、「能動」のインターネットメディアへ

インターネットが普及する前、私たちの情報源は、主にテレビや新聞、雑誌といったマスメディアが中心でした。皆が同じように、マスメディアから「受動的に」情報を受け取るのが当たり前の時代です。

ところが、1990年代にインターネットが登場し、状況は劇的に変わりました。特に「Google」の登場により、世界中の情報は、機械である「検索エンジン」プログラムにより自動収集され、インデックス化されるようになりました。今や、世界中のありとあらゆる情報は、インターネット上に蓄積されています。そして、それにより、情報が与えられるのを受動的に待つだけではなく、自分が欲しい情報をインターネットで「能動的に」検索することが当たり前となったのです。

一方で、このインターネットの登場は「情報過多」の状況も生み出しました。情報量が多すぎてなかなか欲しい情報にたどり着けなかったり、また情報の質自体も玉石混交の状態となり、無数の情報の海の中から、自分が必要な質の高い情報を選び出すセンスと能力が問われています。

ソーシャルメディアの登場により、信頼できる「人」によりキュレーションされた情報が重要な情報源に

そこに新たに登場したのがTwitterやFacebookを初めとした「ソーシャルメディア」です。私たちは、無数の情報の中から必要な情報を選び出し、自らそれを利用するだけではなく、その情報に新たな文脈を加えた上で、ソーシャルメディアを通じて自ら発信できるようになりました。

これは私たちの「情報源」に、二つの革命的な変化が起きていることを意味します。

一つ目は、それまでの検索エンジンによる「機械的な情報収集」に、「人」という軸が加わった点です。ソーシャルメディアでは多くの情報が共有されていますが、全ての媒介となっているのは実際の「人」です。中でもFacebookは実名制に基づくリアルなソーシャルグラフであり、信頼できる「人」のフィルターを通した情報がもたらされるようになりました。

二つ目は、「人」を通して、情報収集が再び「受動」になりつつあるという点です。ソーシャルメディアでは、能動的に情報を探しにいかずとも、友人から受動的に情報がもたらされます。これにより、自分が能動的に興味・関心を持ったものだけではなく、マスメディアと同じように、ある意味受動的に「情報を見せられる」状況になりつつあります。

つまり、ソーシャルメディアの台頭により、「人」を通じて編集された情報=キュレーションされた情報が、私たちの情報源として大きな部分を占めつつあるのです。

ジャーナリストの佐々木俊尚氏は、自身の著書『キュレーションの時代』の中で、この状況を”いまやだれもが自ら情報を選んで、意味づけし、みんなと共有する「一億総キュレーション」の時代である”と表現しています。

注目が集まるキュレーションサービス

このような状況下、検索サービス「NAVER」が開始した「NAVERまとめ」が注目を集めています。

「NAVERまとめ」は、ユーザーが自らの好きな「まとめ」を作れるユーザー参加型キュレーションサービスで、まとめページを作ったユーザーが広告収入を得られる仕組みになっています。この「NAVERまとめ」全体のページビューは、2011年12月末時点で月間1億9400万、訪問者数は1,300万人にのぼると言われており(公称)、企業からもマーケティング活用への熱い視線が集まっています。

他には、Twitterのつぶやきをまとめた「Togetter」や、最近話題の画像に特化したSNS「Pinterest」もキュレーションサービスと言われています。

企業は、キュレーションの対象となる良質な情報提供を

ユーザー自らが、無数の情報の中から価値あるものを選び出し、新たな文脈を乗せた上で、ソーシャルメディアやNAVERまとめのようなキュレーションサービスを通じてどんどん発信していく時代になっています。そして、それが現在の私たちの重要な情報源となりつつあることに間違いはないでしょう。

今後の企業のマーケティングにおいて、「キュレーションされる情報になること」は、一つのキーワードになるかもしれません。

イラスト

速瀬 みさき

1993年よりホラー誌デビュー。漫画家として活動しながらエッセイ、イラスト、デザインなども手掛ける。近著コミックスは、メイド喫茶にバイトで潜入取材漫画。広告代理店勤務の夫を持ちながらも、マーケティングなにそれ?状態で執筆中!

公式サイト : http://www.nanacom.com/
Facebookページ : http://www.facebook.com/hayase.mi
用語解説:ソーシャルメディアマーケティングラボ
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