日本音楽著作権協会(JASRAC)は6日、2009年2月27日付で公正取引委員会から受けた排除措置命令について、東京高等裁判所が下した決定に基づき保証金1億円を供託し、命令の執行が免除されたと発表した。
JASRACでは、放送事業者と「包括的利用許諾契約」を締結している。同契約では、音楽放送事業収入の一定割合を支払えば、JASRACの管理する楽曲を自由に使えるとする内容となっている。公取委はこの契約について、放送事業者が番組で実際に利用した楽曲の総数にJASRAC管理楽曲が占める割合を正確に反映しておらず、放送事業者が他の楽曲管理事業者に使用料を支払う場合に、その分だけ追加負担となると認定した。その上で、同契約が他の事業者の新規参入を阻んでいるとして、2009年2月27日、独占禁止法違反(私的独占)で排除措置命令を出した。
これに対しJASRAC側では4月28日、独占禁止法第49条6項に基づき、排除措置命令の全ての取り消しを求める審判請求を公取委に申し立てた。また、2月27日に公取委が出した排除措置命令は同日から有効なため、JASRACではその効力停止を求める上申書も合わせて公取委に提出した。第一回の審判は7月27日に行われ、JASRACが意見陳述を行った。この時点で、同命令は有効だが、執行は行われていないという状況にあった。
一方JASRACでは、命令執行を避けるため、同命令の内容が「JASRAC単独での履行が困難で、音楽著作物の利用者である放送事業者やJASRACに音楽著作物の管理を委託している権利者にも損害を生じさせるおそれがある」ことなどを理由とし、命令の執行の免除を求める申立てを6月16日に東京高等裁判所に行った。
東京高等裁判所では7月9日、JASRACの申立てを認め、保証金1億円を供託することにより、命令執行を免除するとの決定を下した。これを受けJASRACでは、8月5日の理事会で議論した結果、保証金の供託を全会一致で決定し、8月6日に保証金を供託した。この結果、同命令が確定するまでの間(※)、同命令の執行が免除されることになった。
※ 排除措置命令の取消しを求める審判手続とその後の裁判手続の間
JASRACでは、「これにより、当協会との間で利用許諾契約を締結している放送事業者に命令執行に伴う影響が及ぶ事態は当面回避されることとなり、従前どおりの手続で音楽を利用してもらえることになった」としている。