ITシステムの有効活用というのは想像以上に難しい。
せっかく高度な機能を取り込んでも、ユーザーに使ってもらえないことはたびたび。利便性を重視した結果、コストや品質の面で問題が生じたというのもよくある話だ。また、ビジネス環境は常に流動的であり、その変化に追随できなければ、すぐに使いものにならなくなってしまう。本来、ビジネスを加速させる"武器"となるはずのものが、ビジネスの俊敏性を奪う"お荷物"になっているケースも少なくない。
こうした状況に陥るのを避けるにはどうすればよいのか。それにはやはり、ビジネス要件を正確かつ迅速にITシステムに取り込む仕組みが必要だ。また、開発/運用工程では、機能面ばかりに目を向けるのではなく、システムの品質や性能に対する管理も求められる。問題発生時に備えて変更内容を管理し、いざというときに原因を特定したり、変更前の状態に戻したりできる機能も必要になってくる。
ITシステムを有効に活用するには、それなりの運用ルールや体制、システム基盤が不可欠なのである。
以上のような内容は、ある程度の経験をお持ちのITエンジニアであれば、"百も承知"の話だろう。しかし、実際にそのような運用ができているかというと、残念ながらほとんどの現場は実現できていない。
では、なぜやらないのか――それは、ITシステムのライフサイクル管理を適切に行うにはある程度専門的なノウハウが必要だからだ。つまり、正確には「やらない」のではなく、「やれない」のである。いざ実践するとなると、「現状の運用レベルがどの程度なのかさえ判断できず、何から手をつけてよいのかわからない」というのが多くのITエンジニアの本音ではないだろうか。
社外の分析屋に依頼する利点
こうした問題を解決するにはどうすればよいのだろうか。1つの方法として、分析、評価、改善提案を、社外の専門家に委ねるというやり方が考えられる。
外部の専門家に委ねるという方法には、次の利点がある。
- 第三者の観点から業務や開発/運用プロセスを捉えてもらえる。人的しがらみがないため、悪いところを躊躇なく改善できるところもメリット
- 類似ケースを扱った経験からアドバイスがもらえる。また、大抵の場合、変更前後の比較も行うため、効果を客観的に判断できる
特に、社内の人間ではないというのは大きなポイントだ。このような改善作業を社内の人間が行うとなると、自身の業務経験や人間関係が邪魔して、客観的な判断を下さない可能性がある。外部の専門家であれば、そのような問題も排除することができる。言葉は悪いが、悪者を外に作ることで、文句を言いながらも変更を受け入れるということができるのである。
ALMバリュープロファイルという選択肢
そこで注目したいのが、ボーランドが開始した「ALMバリュープロファイル」だ。
ボーランドはソフトウェア開発ツールベンダーとしてトップクラスの企業。要件定義/要件管理、品質管理、変更管理などのソフトウェアを提供している。
ただし、今回のALMバリュープロファイルは、開発ツールではなくコンサルティングサービスになる。同社は、「ITシステムの投資効率を高めるには、開発ツールのみならず、開発/運用プロセス全般の改善が必要」という方針の下、プロセスの強化にも取り組んでおり、一部の顧客に対してはコンサルティングサービスも実施していた。そのノウハウをまとめあげるかたちでALMバリュープロファイルが生みだされている。
ALMバリュープロファイルは、2008年2月から世界中で展開されており、日本は1年半ほど遅れての提供開始となった。遅れた理由としては、日本語化に加えて、日本の気質に合うように"日本化"していたためだという。日本企業が、欧米様式を無理矢理適用して失敗した例は枚挙に暇がない。その点が配慮されているのは、ユーザー企業にとってうれしい限りだ。