性能評価や負荷試験がソフトウェア開発のホットトピック
Borlandが歩んできた歴史はソフトウェア開発の歴史といえる。Borlandが創業したのは25年以上前の話。最初は個人開発をターゲットにして開発環境やツールを提供するスタイルだった。そこから提供するツールや注力するポイントがチーム開発へ移り、組織開発へ移りと、時代のニーズに合わせて変化してきた。現在ではコミュニケーションツールや試験ツールまで開発に関わるすべてのツールを包括的に提供するに至っている。
ここ数年、Borlandが掲げているキーワードが「Open ALM(Application Lifecycle Management)」だ。現在のBorlandはソフトウェア開発全体の効率を上げるための開発管理、コミュニケーションツール、試験ツール、性能評価ツールなどを幅広く提供している。このツール群はフレームワークを通じてコラボレーションするほか、サードベンダが提供しているアプリケーションやツールとも連携する。顧客がもっているツールやプロセスすべてを連携できるプロダクトでありソリューション、そうした意味を込めて「オープン」という言葉が使われている。
さまざまなアプリケーションやツールが提供されているわけだが、最近日本市場で特に人気のある同社のプロダクトはSilk TestやSilk Performerといった性能評価/負荷試験ツールだという。これまではStarTeamやTogetherなどのコミュニケーションツールに人気があったが、注力ポイントが性能評価/負荷試験といった品質向上そのものに関する部分へ移ってきているという。
トップランナーとして開発効率を向上させる次の一手に着手
品質の高いプロダクトやシステム、スケーラビリティのあるWebアプリケーションを開発しようとした場合、効果的なパフォーマンス計測や負荷試験は欠かせない。計測しないことには改善にも取り組めないからだ。日本においても性能評価や負荷試験は以前よりも重要な工程と捉えられるようになり、対応ツールの検討も進んできている。Silkプロダクトの採用が進んでいるのはそうした市場の背景がある。
常にソフトウェア開発のトップランナーとともに走り続けているBorlandはいま、もうひとつ先を見据えて取り組みを進めている。さらに品質を向上させ、細かい要望に迅速に対応できるするにはどうすればいいかを考えたとき、開発ツールや試験ツールの次にくるのは開発プロセスそのものの改善だ。Borlandは2006年からその取り組みをはじめ、いまそれが実際の数値として実を結びつつある。Borlandが次に見せる取り組みになるだろう。
開発プロセスを成熟させる - キーワードはエンタープライズレベルのアジャイル
Borlandが取り組んでいる次の取り組み、それはエンタープライズレベルの「アジャイル」だ。Borlandは2006年から同社の開発者350名を組織ごとアジャイルへ変更する取り組みを開始した。開発をより迅速に実施するには工程を細かく繰り返すアジャイルへの取り組みは欠かせない。さらに開発手法だけを変更しても効果がなく、組織構造そのものを適切なものへ変更する必要がある。そうした組織構造まで含めた模索が実を結び始めている。
なんだアジャイルか……と思うかもしれない。たしかに少数チームではアジャイルは数年前から取り組まれ、うまくいくケースが多い。しかし数百人規模のプロジェクトなど大企業が取り組むプロジェクトでアジャイルが全面的に採用されることはほとんどなかった。そのなかでも小さいチームでアジャイルを採用することはあっても、全体の開発プロセスはウォーターフォールが採用されることがほとんどだ。
この数年間、こうした大企業がアジャイルを敬遠してきたわけではない。どうにかして利点をエンタープライズクラスの開発に取り込めないか、注意深く観察してきたというのが実状だ。すでに欧米の大企業の一部では自社の大規模な開発プロセスにアジャイルの導入をはじめているところがある。エンタープライズレベルにおける開発プロセスの改革は今まさにはじまろうとしている。
ウォーターフォールもアジャイルも他社製品もすべて対応する、それがBorland
そこでBorlandだ。Borlandではまず自社で実践するという取り組みを「Borland on Borland」と呼び、積極的に進めている。2006年の段階で350名規模の組織をアジャイルに置き換えていくのはドラスティックな取り組みだ。しかしその結果は明確で、リリースサイクルは以前よりも細かく実施できるようになり(100%増)、そして品質も向上(50%増)したという。これからBorlandはこうしたアジャイルの成果を自社のプロダクトに投入することになる。
しかし現実問題として、ほとんどの大企業の開発プロセスは依然としてウォーターフォールモデルを採用している。アジャイルをベースとした開発プロセスが大規模プロジェクトに対しても適用でき、効率も品質も向上することが確認できたといっても、すぐに移行が進むわけではない。開発プロセスそのものの研究や実施も含め、もっと長いスパンでの取り組みは必要になるだろう。
「アジャイルはすべての会社に必要なものではない」と、BorlandでCEO兼Presidentを務めるErik Prusch氏。Borlandはヘッドランナーとしてビジネスプロセスレベルまで開発プロセスを成熟したものへと探求していく一方、現実的なソリューションとしてすべての状況に対応するプロダクトを提供していくという。たとえばエンタープライズにおけるアジャイルの普及期には、ウォーターフォール開発がプロジェクトの6割、アジャイルが4割といった混在状況も考えられる。ツールも予算や採用する技術の都合で多種多様なものであることも多い。Borlandはそういったすべての状況において「オープン」に接続できるアプリケーションでありツールを提供していくという。

