ジオデータの消費者から貢献者に変わるGeowebユーザー
Googleが昨年8月に公開した「Map Maker」のようなマップ作成プログラムによって、これまで地理情報のデータや精度が不足していた地域にも正確な地図が急速に広がっている。地図が整えば、そこにマッシュアップやローカルデータの追加が起こる。今日では無線LAN (Wi-Fi)アクセスポイント、携帯電話の基地局、IPアドレス、GPSなどからユーザーの位置を特定でき、スマートフォンやiPhone、ノートPC、デジタルカメラなど様々なデバイスで利用できる。このようなロケーション・プラットフォームの拡充に従って、ユーザーからさらにダイナミックで双方向的なコンテンツやサービスが求められるようになる。数年前までユーザーは位置情報の消費者でしかなかったが、今日のユーザーはローカルマップ作りのエキスパートであり、オンラインマップの世界を拡充する貢献者になっている。これによりGeowebの拡大に拍車がかかる。GoogleのシニアプロダクトマネージャーのLior Ron氏によると、現在Geowebは3カ月ごとに倍増する急速なペースを維持し続けているそうだ。
この1年でロケーションに対応する端末が増加 |
スニークプレビューとして披露されたGoogle Mapsのデモ。ストリートビューの上に配置された丸ボタンをクリックするとMy Locationが地図に反映される |
この動きをさらに押し進めるのが「Google Maps Data API」だ。Web上でジオデータの閲覧、ストア、アップデートを可能にするGoogle Data APIである。同APIを利用するメリットは4つ。まずデータがGoogleのサーバに格納されるため、ジオ開発者はデータのストレージや通信帯域に悩まされずクライアント・アプリケーションの開発に専念できる。2つめは即時性だ。同APIから取得されたジオデータはすぐにインデックス化され、ほぼリアルタイムでGoogle Mapsの検索対象になる。3つめはクロスプラットフォーム/ クロスデバイスを実現する幅広いアクセス。そして最後はスピードだ。JavaScript、Flash、3Dなど、Googleは常にジオデータの高速かつ正確なレンダリング手法を追求している。
同APIを利用したいくつかの例も紹介された。信頼できる複数のソースからのローカル情報をまとめてユーザーに提供するサービス「ConnectorLocal 」は、Maps Data APIによってGoogle Mapsとの間でジオデータのインポート/エクスポートを可能にしている。個人的な場所リストの作成・共有に役立てられる。ソーシャルマッピングサービスの「Platial」は、コミュニティマップのジオデータをホスティングするためにGoogle Maps APIを利用している。Android携帯用アプリ「My Tracks」では、GPSの軌跡がGoogle MapsのMy Mapsに記録される。移動中に時間や速度、距離などの統計を確認でき、またデータの編集や共有が可能だ。
Maps Data APIでは、マッシュアップと異なりGoogleにデータが集中してしまう。Googleによるコントロールを懸念する声が予想されるが、その点についてRon氏は、ジオデータが他の検索エンジンからも利用できるオープン性、さらに削除を含めてユーザーがデータを完全に管理できる利用ポリシーを強調していた。
Google Mapsと連動する広告API「Maps Ad Unit」
講演ではまた、Google Maps APIの利用から広告収入を得られる「Maps Ad Unit」が発表された。Webサイトに埋め込まれたGoogle Mapに、GoogleBarを通じてAdSense広告をオーバーレイするオプトイン形式のMaps APIだ。例えばWebサイトを訪れた人がカリフォルニア州ナパの地図にアクセスしたらワイナリー、フロリダ州オーランドならディズニーリゾートというように、マップの場所に関連した広告が表示される。