最終意見陳述で「一生涯をかけて償う」

次に検察官から被告人に質問があった。

検察官 メールアドレスを欲しがっている会社はたくさんあるので金になると思ってやったのか。

被告人 はい。

検察官 (情報が流出した結果)迷惑メールを送られた人は、アドレスを変更したりしなければならない。面倒な作業だとは思わないか。

被告人 (ITに慣れた人以外の)普通の人にとっては面倒だと思います。

検察官 事件の重大性は分かっているのか。

被告人 重大性は分かっています。

検察官 就職のあてはあるのか?

被告人 現在はなく、勉強するしかないです。アルバイトはできるのでそれで弁済していきたい。

この後、検察官による論告求刑が行われた。

検察官は「公訴事実も証明された。情状面でも、成功報酬目的で行ったものであり、酌量の余地はない。インターネットカフェを利用して犯行を行うなど、計画性もあり悪質。IT関連企業に勤める者がこのような犯行を行ったことは許されない」とし、懲役6カ月を求刑した。

これに対し弁護人は、「今回流出した情報はメールアドレス以外にリアルなものではなく、バーチャルなもの。証券会社や病院の情報などとは質が違う。対価も得ていない。全国で報道されるなど社会的制裁も受けており、IT業界からは永久追放され、大学時代以来これまで得てきた知識も生かせない。次回の判決では、被告の社会での更生に資する判決を望む」と情状酌量を求めた。

被告人は最終意見陳述で、「自分がやってしまった軽率な行動でIT業界の信頼性も損ねてしまい猛省している。一生涯をかけて償うつもりです」と述べた。

公判は1時間にわたって行われ、結審した。