「問題行動はなかった」被告に突然の逮捕・報道

法廷には被告人の母親も出廷した。被告人には過去に逮捕歴や補導歴もなく、息子の突然の逮捕に大きなショックを受けたという。弁護人や裁判官との証人尋問の中で、銀行からのハガキを通じて息子の借金を知ったこと、損害賠償では被告人に返済してもらうこと、今後は生活面で支えていくことなどを語った。

被告人は高校卒業後、理科系の大学に進学し、卒業後はIT企業に就職。犯行時に勤めていた勤務先は携帯サイトのシステム運営を行っているIT企業で、役職にも就いていた。

「IT業界から永久追放」

証人尋問後、被告人質問が行われ、弁護人から質問があった。

以下、一問一答形式で表記する。

弁護人 三菱UFJ証券の情報流出事件では真実性の裏づけのある情報が流出してしまいましたが、あなたが流出させた情報はどんなものですか。

被告人 携帯のメールアドレスが主で、それに付随してニックネームや生年月日、性別、都道府県などが登録されたものです。

弁護人 登録情報の真実性は担保されていますか?

被告人 いえ、あくまで任意に登録されたものです。メールアドレス以外が本物かどうかは分かりません。

弁護人 登録された情報はいわばバーチャルなものといえますか。

被告人 はい。IT業界にいたせいか、メールアドレスは頻繁に変えられるとデータを軽く見ていました。

弁護人 真実性の担保があれば、今回の犯行はできなかった?

被告人 できなかったと思います。

弁護人 今回の事件であなたの勤めていた企業は3,000万円の損害賠償を受け、全額保険で払われはするが、営業政策上なにがしかの金額は(情報流出があった企業に)払っている。これについてはどう思うか?

被告人 信頼して雇ってもらっていたのに申し訳ない。社会復帰をするために勉強をし、稼げるようになったら少しでも返済したい。

弁護人 今回の事件でネットではあなたに関するスレッドも多く立った。IT業界からは永久追放されたことに?

被告人 就職活動は全て駄目で、社会復帰は遅くなります。現在はどの業界でも必要になると思い、英語を勉強しています。