アドビシステムズは1月29日、都内のホテルにて同社クリエイティブ製品の開発者カンファレンス「Adobe MAX Japan 2009」を開催した。MAXはAdobe買収前のMacromedia時代から行われていたイベントだが、MAX Japanの開催は今年で2回目となる。米Adobe CTOのKevin Lynch氏が来日し、開催初日にあたる29日に基調講演を行った。
Lynch氏の講演テーマは「Client + Cloud」「Social Networking」「Devices + Desktop」の3つで、昨年11月中旬に米サンフランシスコで開催されたAdobe MAX 2008の発表内容にほぼ沿っている。Flash環境の拡大とAIRによるWebアプリケーション利用スタイルの変化、さらに携帯を含むさまざまなデバイスへの進出などが主なものだ。だが前回の講演から2カ月以上が経過しており、新製品やソリューション関連でさまざまなアップデートが見受けられた。また日本での講演ということもあり、日本でのパートナー企業であるNTTドコモの担当者が登場し、その最新成果を披露している。
最初の注目ポイントはFlash Playerだ。MAX 2008で発表されたばかりのFlash 10だったが、Lynch氏によれば登場からわずか2カ月程度で全Flashプレイヤーの55%のシェアに到達したという。これは過去のFlash製品と比較しても最速ペースだという。現時点で全世界のPCの90%以上にFlash Playerがインストールされているといわれ、2カ月で全マシンの半数以上が新バージョンに入れ替わったことになる。
Lynch氏がFlash 10とともにプラットフォームの急拡大をうたうのがAdobe AIRだ。Webアプリとデスクトップアプリの両者の性質を持つAIRだが、これまでに累計で1億のAIRランタイム導入を達成したという。AIRアプリをインストールした段階で導入されるAIRランタイムだが、ようやく大台と呼べる水準にまで到達したことになる。最新のAIR 1.5ではデータベース機能や企業向けの配布機能を強化しており、よりエンタープライズでの利用を想定したものとなっている。それを示すかのごとく、ステージ上ではLiveCycleを活用した不動産物件参照アプリケーションの「KTツール」、某大手で利用されている株式取引ツールなどのAIRアプリが紹介された。
今回のMAX Japanでは、上記のAIRアプリ以外にも日本での事例が豊富に紹介されている。ソニーのVAIOに内蔵されたFelicaリーダー機能を利用して、ICチップに情報が記録されたカードをノートPCで読み込ませ、カード情報を3D表示して対戦を行うAIRベースのゲームアプリなどはその1つだ。またAIRではないが、Flashの活用事例として日本の代表的ソーシャルネットワーキングサービスのニコニコ動画なども紹介された。