旧態依然のビジネスモデルがアキレス腱

交流系ウェブサイト市場における競争が日々激しくなる状況下、ユーザーをいかに引きつけ、定着させ、活発化させられるかがサービス・プロバイダーの直面する主要な問題となってきた。交流系サイトのサービス・プロバイダーは、信用認証サービスの強化、差別化戦略、外部資源との協力強化、産業チェーンの確立の、主に4つの面から課題解決に着手している。

Web2.0全体から見れば、中国国内の多くのWeb2.0企業は「ユーザー中心」をコンセプトに、ブログ、SNSなどを展開、多くのベンチャー・キャピタル(VC)を引きつけてきた。だが、ビジネスモデルの未成熟がアダとなり、とかくVCから過度の干渉を受け、新たなビジネスモデルを作るチャンスを逃してきた。これは、将来にわたり、意外に深刻な問題になるかもしれない。Web1.0時代に味わったバブルの悲劇が再演されぬよう祈りたい。

実際のところ、中国のWeb2.0企業の多くは、相変わらず広告、メールなどの古いビジネスモデルを採用している。Web2.0技術は、純粋に技術としては特段敷居が高いわけではない。そのため、大手のポータルサイトが新規参入しやすく、新興の小型ウェブサイトが実力で勝る伝統ポータルサイトにかなわなくなるのは仕方のないことともいえる。

かつてWeb2.0企業の代表、と持ち上げられ、CEOの方興東氏が「2年間でナスダックに上場」すると豪語した博客網も、今や人員削減に踏み切らざるを得なくなった。頭角を現したばかりの新興Web2.0企業が、伝統的な大手ポータルサイトに買収されるのも時間の問題、なのである。

ユーザーの絞込みが今後の発展の鍵

「C2C=Copy to China」というたとえがある。まさに、中国ネット企業の長年の弱点を示すもので、海外モデル、とくに米国モデルをそのままコピーしたビジネスモデルを指す。もちろん成功した事例もあるにはある。

しかし、特色のあるサービスが先行するWeb 2.0時代において、依然としてひたすら「C2C」のビジネスモデルのままでは、国内業界のクリエイティビティは下がる一方だし、成功の確率も低くなる。

中国のネットユーザーが一般的に持つ「無料が当たり前」の心理は、初期のインターネット企業が自ら掘った「墓穴」にほかならない。だが、無料モデルは今や容易には転換できないビジネス上の「慣習」となっている。従って、これからのネット利用者に(付加価値サービスの)有料使用を求めても、かなり難しい面がある。

中国の新興SNSは、ポータルサイトを代表とする「前時代のウェブ勢力」と、海外の成功したSNSウェブサイトの双方からの厳しい挑戦を受けることは明白だ。SNSは画期的な新コンセプトでもなければ素晴らしい新技術でもないため、新世代のウェブサイトだけが享受できる専売特許はないからだ。

大手ポータルサイトの新浪網はブログと動画配信を押し出し、インスタントメッセージ大手のテンセント(騰迅)は、キャンパスSNSに踏み出した。既に中国に進出したXingや、間もなく中国に進出するMyspaceも積極的に動いている。

前時代のウェブ勢力も、海外の成功したSNSも、長年に渡り市場の試練を潜り抜けてきているので、資金も人材も経験も明らかに優位性がある。国内の新興SNSが成功したければ、何倍もの努力を払わなければなるまい。

そのためのカギは、やはり「市場細分化」にあるのではないだろうか。自社の比較優位性に合わせ、市場セグメントを見極め、対象市場のユーザーの特徴を徹底的に分析し、理解する。さらに、絶えず革新と改善に努め、ユーザーの個性化ニーズを満たしながら、特色を形成し、より大きな競争優位を獲得するよう努力する。そこにこそ、活路を見出せるのではないだろうか。