The JRuby communityは2008年1月8日(米国時間)、次期リリースへ向けた最初の準備リリースとなる「JRuby 1.1 RC 1」を公開した。JRubyはJavaで開発されたRuby実行プラットフォーム。JRubyを使うとJava仮想マシン上でRubyスクリプトを実行できる。また、RubyスクリプトからJava APIを活用できるという特徴がある。

JRuby 1.1は実行速度の向上に注力して開発されているバージョンだ。Rubyのソースコードは実行する前や実行時にコンパイルされてから実行される。この機能の効果でRubyコードの実行速度が大幅に向上することが確認されている。また以前のバージョンと比較してメモリの使用量が減っているところも評価できる。

1.1 RC1における特徴は1.1b1から143の問題が修正されていることに始まり、正規表現ライブラリ"鬼車"の取り込み、stat/kill/getuidなどPOSIXメソッドのサポート、最新のRubygems 1.0.1/RSpec 1.1.1/Rake 0.8.1 gemsへ対応、Ruby 1.8.6互換になるようにアップデートされた標準ライブラリなど。

Rubyの最新版は2007年12月25日(米国時間)にリリースされたRuby 1.9.0だが、JRuby 1.1での対応バージョンは最新の安定版であるRuby 1.8.6ということになるだろう。JRubyがRuby 1.9系に対応するのはRuby 1.9系が安定ブランチになってから次のリリースでということになりそうだ。

JRuby 1.1へ向けた開発ブランチの前評判はかなり良い。アナウンス文にあるようにパフォーマンスの向上はすでにめざましいものがあり、場合によっては最新版のRuby 1.9よりも高速に動作することがある。特にJavaプラットフォームの最適化が効いてくるサーバ用途では相当なパフォーマンス向上が確認されている。JRubyの採用を検討しているデベロッパは一度JRuby 1.1RC1を試してみるといいだろう。