マンションの購入は、今後の人生を大きく左右する決断です。購入すると簡単に手放すことはできず、何十年もそこで住むことになるため、憧れや勢いだけで手続きを済ませしまうと取り返しがつきません。
そこでこの記事では、マンションを購入した人はどのような理由で後悔しているのかや、失敗しないためのポイントを解説していきます。事前の知識で覚悟を決めて適切に対処しておくことで、後悔するリスクは下げられます。ぜひ参考にして、満足できるマンションライフを送れるようになりましょう。
マンション購入で失敗して後悔する9つの理由
購入してみたいマンションに関する情報は、不動産のポータル会社や不動産会社で調べることができ、新築ならモデルルーム、中古なら内覧などで物件を厳選することはできます。しかし、知識なしで初めてのマンション購入に挑むと、見落としが出てきます。数字では知っていても、住んでからでないと実感しにくいこともあります。まずはよくある以下の後悔について、詳しく見ていきましょう。
- 毎月かかる費用が多い
- 室内の間取りや広さの使い勝手が悪い
- マンションの周辺環境が良くない
- マンション住民同士のトラブル
- 住宅ローン控除が適用できなかった
- マンション自体の劣化
- マンションの資産価値の減少
- 通勤や通学のアクセスが良くない
- 購入後の生活の変化に対応できない
理由1:毎月かかる費用が多い
マンションは、日常的に買うものとは比べものにならないほど高価なため、ローンを組むことが一般的で返済は何十年も続きます。経営不振や倒産などで収入が減ったとしても返済は続くため、負担に感じてしまうでしょう。
また購入したマンションでは、ローンの返済以外に次の費用もかかります。
- 管理費
- 修繕積立金
- マンションにかける火災や地震の保険料
- マンションを所有することで発生する固定資産税
これらの費用の合計は年間で数十万円になり、家賃と同等の額でローンの返済を考えていると、購入前より厳しい生活になり後悔します。支払いが滞ってしまうと購入したマンションを失い、借金だけが残ることもあるため、賃貸のときより悪影響が大きいです。
理由2:室内の間取りや広さの使い勝手が悪い
これまで住んだことがない広さや間取りのマンションを購入する場合は、想定していたより狭かったり広かったりして後悔しがちです。とくに空室の状態しか見ていないと、家具を入れたときに想定との齟齬が生じやすいでしょう。
また、マンションで1日中過ごすと、南向きの部屋を選んでいても、日当たりの悪い部屋があり後悔しかねません。購入したマンションで暮らしだすと、モノが増るため収納が不足して後悔することもあるでしょう。
理由3:マンションの周辺環境が良くない
内覧したときは静かでも、住みだしてから騒がしいとストレスが溜まり、マンションを購入したことを後悔します。将来周辺の開発が進み交通量の多い道ができたり、騒音を発生する施設が建ったりする可能性もあり得るでしょう。
また、周辺環境の変化で、日当たりが悪くなることもあります。日当たりを確保するための日照権で、ある程度の制限はかかっているものの、近くに新しいビルやマンションが建つと日当たりが悪くなるということです。さらに景観を遮る状態になっていると、高層階を購入したメリットも薄れてしまいます。
理由4:マンション住民同士のトラブル
賃貸マンションでも起こる問題ですが、住民同士のトラブルはどこでも起こり得ます。上下左右の部屋からの騒音や駐車違反を繰り返す住民の存在、禁止されたペットを飼うなど、要因はさまざまです。
購入したマンションでは、どれだけ深刻な住民トラブルがあっても簡単には引っ越しを決断できないため、後悔してしまいます。管理組合を通して問題を指摘しても改善してくれるとは限らず、いつまでも我慢を強いられることはつらいでしょう。
マンション管理や管理組合の仕組みについて解説したこちらの記事もおすすめです。
理由5:住宅ローン控除が適用できなかった
ローンを使った住宅の購入を促すために、購入後の税金の負担を減らす住宅ローン控除という制度があります。ローン残高の1%(上限額は通常40万円)が控除され、所得税や住民税の節税が可能です。適用条件は新築と中古で次のようになっています。
【新築マンションの場合】
- 引き渡しから6ヶ月以内に住む
- 適用する年の所得が3,000万円以下
- 床面積が50平米以上で半分以上が居住用
- 10年以上のローンを組む
- 特定の特例を適用していない
【中古マンションの場合】
新築マンションの適用条件に加え、次の条件も追加されます。
- 築25年以下
- 一定の耐震基準を満たす
住宅ローン控除は最長で13年適用されるため、条件を満たしていないと累計で百万円単位の損をすることになります。中古マンションでは適用できても築年数で数年しか控除できないこともあり、制度の詳細を知らずに自身の希望だけでマンションを購入すると、後悔することになりかねません。
理由6:マンション自体の劣化
中古マンションの購入で後悔しやすい要因として、建物部分の劣化があります。内覧で見落としがあり実際に住んでみたらリフォームが必要だったり、見えないところの傷みが顕在化して被害が出たりします。
将来はリノベーションしようと思っていても管理組合の許可が下りず、理想の形にできないかもしれません。特に間取りの変更まで行うとなると、特定の壁は強度確保のために撤去できず、配管の流れやすさを維持するために水回りの移動が制限されます。
マンションの劣化を防ぐための大規模修繕が行われると、修繕積立金がアップすることもあります。大規模修繕直前に購入してしまうと、想定したより費用の負担が増えて後悔するでしょう。
理由7:マンションの資産価値の減少
マンションの資産価値は、基本的に購入した時点がピークです。築年数によって資産価値は減少していき、新築で購入しても35年後には3割程度の価値しか残っていません。まだ新しかったとしても、景観や生活環境を悪化させるような建物が建ってしまった場合も、価値の減少は避けられないでしょう。
資産価値が減少したマンションでは、住み替えのために売却しようとしても買手はなかなか見つかりません。賃貸にしようとしても、ローンの返済を下回る家賃が相場で出費が続き後悔します。
理由8:通勤や通学のアクセスが良くない
購入するマンションは、その価格や間取り、広さなどに注目しやすいですが、職場や子供の学校、交通機関までの距離も重要です。購入前と距離は少ししか変わらないと思っていても、実際に毎日通っていると不便に感じてしまうことがあります。車での通勤では、渋滞が頻発する道を通る必要があると、出社時間に余裕を持たなければなりません。
子供がまだ小学生や中学生であれば、購入するマンションの立地で学区が変わってしまいます。仲のよかった友達と離れてしまうことは、子供にとって大きなストレスです。新しい学校で人間関係を作り直すのも労力がかかります。
理由9:購入後の生活の変化に対応できない
若いうちにマンションを購入してしまうと、問題になりやすいのが生活の変化による後悔です。もし独身時代に購入していると、結婚や子供の出産で一緒に住む人数が増えて手狭になってしまいます。また離婚したり子供が独立したりしたときは、部屋が余って後悔するでしょう。
多数の支社や店舗を持つ企業に務めていると、転勤の可能性もあります。いつ戻ってこられるか分からず、通勤が不可能な距離では購入したマンションは無用になり、住み替えを検討しなければなりません。
マンション購入で失敗・後悔しないための7つのポイント
マンション購入で後悔するリスクは、購入する前の準備で下げることができます。購入してからの人生は長いため、次で紹介する7つのポイントを実践して理想のマンションを探しましょう。
- どんな人が住んでいるのかを確認する
- 修繕計画や管理状況を確認する
- マンション近辺の開発計画を調べる
- 時間帯や曜日を変えてマンションを訪れる
- 適正な借入金額を調べる
- 将来の人生設計をきちんと考える
- インスペクションを行う
ポイント1:どのような人が住んでいるのかを確認する
中古マンションを購入予定であれば、内覧するときに部屋だけでなくマンション全体を見て、住民の家族構成や年齢層も確認しましょう。生活感が同じ住民が多ければ円滑な人間関係を築くことができ、収入の格差による嫌な雰囲気を感じることが少なくなります。
現在何かトラブルが起きている場合は、マンションの掲示板を確認すると何らかの告知が見つけられるかもしれません。またマンションの口コミサイトがあれば、覗いてみると抱える問題に気づきやすいでしょう。
新築マンションでは実際に住民の確認はできません。しかし相談しやすい不動産会社の営業担当であれば、入居が決まっている上下左右の部屋の家族構成や年齢層などを教えてくれる可能性があります。
ポイント2:修繕計画や管理状況を確認する
余計な出費や劣化による後悔をなくすためには、修繕計画や管理状況の確認が効果的です。修繕計画については、次の大規模修繕がいつなのかや、完了後に次の積立金の値上がりはあるのかなどを聞いてみましょう。
管理状況については、管理規約を見せてもらい肉眼で現状を確認すると、問題がないか判断できます。たとえ現状に問題はなくても、マンションに空室が多い場合は購入を避けたほうがよいです。将来十分な修繕費や管理費が確保できず、劣化が進むと資産価値が減少しやすくなってしまいます。
ポイント3:マンション近辺の開発計画を調べる
購入したいマンションの周囲に開発計画があるなら、将来の資産価値が高まる可能性があります。計画が現段階であるかどうかは、不動産会社に聞いてみると情報を持っているかもしれません。
また周囲の街がどのように発展していくかは、土地ごとに定められた用途地域という分類を把握しておくことも判断材料になります。この分類によって土地に建てられる建物の種類が決まり、無秩序な発展を防止しています。
もし周囲に制限が緩い用途地域があると、近くに高層マンションが建って日当たりが悪くなったり、いかがわしい店が増えて治安が悪くなったりするかもしれません。用途地域は市町村の窓口で問い合わせるか、ネット上で都市計画情報を検索すると詳細を調べられます。
用途地域の分類や制限について、詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。
ポイント4:時間帯や曜日を変えてマンションを訪れる
日当たりや騒音で後悔したくない人は、日にちや天気、時間帯を変えて内覧を複数回行ってみてください。さすがに1日中いるわけにはいきませんが、朝と夜、天気の日と雨の日を比較すると、ある程度はどのような環境なのかを把握できます。
特に騒音に関しては、壁の構造や材質などで音が響きやすい場合があるため、隣接する部屋に人がいる状況で確認したほうがよいでしょう。タワーマンションの高層階であれば、重量を軽減する構造でコンクリートが使えず、音がよく響く可能性が高いです。
マンションの内覧については、次の記事もあわせてご覧ください。
ポイント5:適正な借入金額を調べる
ローンの借入金額は、審査に通るだけなら年収の8倍程度が限度だとされています。しかし、実際の出費はローンの返済のほかにも、管理費や修繕積立金などがあります。限度まで借入れてしまうと、突発的にまとまったお金が必要になったときに返済計画が破綻してしまうでしょう。
返済に余裕を持たせたいなら、年収の5倍に抑えるのがおすすめです。将来かかる子供の教育費や親の介護費なども考慮して、いつどれだけお金が必要なのかを具体的にシミュレーションしましょう。金融機関やファイナンシャルプランナー(FP)などに相談すると、将来にかかるお金を把握できます。
まずは自身で検討したい方は、マンション購入予算のシミュレーション法について詳しく解説した、こちらの記事もおすすめです。
ポイント6:将来の人生設計をきちんと考える
マンションを購入するなら、将来の家族構成を考えた広さや間取りで物件を選びましょう。現在は2人で暮らすことを考えていても、長い人生の中で家族は増えるかもしれません。
また老後や新型コロナのような突発的な事情で、購入したマンションで過ごす時間が増えると、不便を感じることがあります。元々転勤が多い職場と分かっているなら、購入を先延ばしにすることも選択肢の1つです。
ポイント7:インスペクションを行う
購入するマンションの劣化などによる不具合を見落としたくない人は、インスペクションを行いましょう。インスペクションとは、住宅診断士や建築士などによる目視や計測を中心とした劣化や欠陥の調査です。専門的な知識で、自身が内覧では気づけなかった問題点を発見してくれるかもしれません。
購入前に問題に気づけていれば、購入自体を避けたり許容範囲なら値引き交渉の材料に利用したりすることができます。費用は数万円かかってしまいますが、後悔したまま住み続けるよりはましでしょう。
インスペクションについては、次の記事で詳しく解説しています。
マンション購入で失敗したときの解決法
どれだけ入念に準備を整えてマンションを購入していても、100%後悔しないとは断言できません。人生100年といわれる現代で、30代で購入したらまだ70年近く残っています。もしもに備えて、失敗したときの対処法を紹介していきます。
売却
ゼロから理想のマンション探しをしたいなら、売却してしまいましょう。ローンの残金は売却代金などで完済する必要はありますが、利益が出ると住み替え費用に充てることができます。早く決断するほど築年数による資産価値の減少は少なく、買手も見つかりやすいでしょう。
いくらで売却できるかは、不動産会社の査定結果で判断します。マンションに定価はなく、査定は不動産会社によって100万円以上差が出ることもあるため、必ず複数社へ依頼してください。一括査定サイトを利用すると、マンションの情報を入力するのみで依頼先がピックアップされ、手間がかかりません。
おすすめの一括査定サイトは「すまいステップ」
- 初めてで不安だから実績のあるエース級の担当者に出会いたい
- 厳選された優良不動産会社のみに査定を依頼したい
- 悪徳業者が徹底的に排除された査定サイトを使いたい
\ 厳選した優良会社に査定依頼 /
すまいステップで一括査定する
おすすめのマンション向けの一括査定サイトを詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
リノベーションやリフォーム
購入したマンションの設備や間取りの不満については、リノベーションやリフォームである程度は解消可能です。費用はかかりますが、管理規約の範囲内でそのときの家族構成や理想に合った形にできます。
柱や梁で強度を確保したラーメン構造のマンションであれば、壁の撤去の許可が下りやすく理想の間取りを実現できるでしょう。立地が気に入っているマンションは、安易に売却すると老後に後悔するため、リノベーションやリフォームを検討したほうがよいです。
賃貸に出す
転勤などで一時的に住めなくなるものの将来戻ってくるつもりなら、賃貸にしてローンの返済分をカバーするという選択肢があります。定期借家という賃貸契約であれば、契約の更新がないため予定通りに戻ってこられます。
ただし金融機関によっては、住宅ローンを組んだマンションを賃貸するのが、禁止されていることがある点には注意が必要です。相談なしで賃貸にすると、契約違反で一括返済を求められるかもしれません。回避するためには賃貸物件向けのローンへ切り替える方法がありますが、住宅ローンより金利は高くなる傾向があります。
また賃貸にできたからとって、空室が続いてしまうとローンの返済は滞ってしまいます。新居にかかる出費があるため、賃貸として需要があるマンションなのかを調べてから実行しましょう。
マンション経営のメリットとリスクについて詳しく知りたい人は、こちらの記事もおすすめです。
マンション売却のための基礎知識
マンション購入を失敗して売却を決断しても、基礎知識の有無で手元に残るお金が変わってきます。ここでは買い替えの方法と買い替えにかかる費用を紹介していきます。もしもに備えて覚えておきましょう。
買い替えの方法
買い替える方法は、売却してから購入する売リ先行と、購入してから売却する買い先行、不動産会社による買取の3つがあります。それぞれのメリット・デメリットは次のようになっています。
買い替え方法 | メリット | デメリット |
売り先行 |
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買い先行 |
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買取 |
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特に買取は、仲介での売却価格の7割程度になってしまうため、おすすめはできません。よほど売却を急いでいたり、需要がないマンションで買手がなかなか見つからなかったりするとき以外は、利用しないほうが手元にお金が残ります。
買い替えでかかるお金
買い替えでは、新居の代金だけでなく手続きで次の費用がかかります。
- 売却と購入で不動産会社へ仲介手数料
- ローンの抵当権抹消登記(旧居分)と設定登記(新居分)の費用
- ローンの繰上返済や新規で組むときの手数料
- 作成する契約書に必要な印紙税
- 引っ越し費用
- 売却で利益が出たときの譲渡所得税
- 購入したときの不動産取得税
マンションの価格や借入金額で大きく変動しますが、合計で数百万円かかることもあります。基本的にローンとは別にお金を用意する必要があり、何度も買い替えを行うと損をすることになるでしょう。
買い替えにかかる費用の詳細や節税対策については、こちらの記事でも紹介しています。
まとめ
何の知識もなくマンションを購入してしまうと、毎月の負担や通勤・通学のしにくさ、想定外の住環境の不満などで後悔します。しかし住み替えには手間もお金もかかり、借金だけが増える可能性があります。
後悔しないためにも、マンションは厳選して入念な資産計画を立ててください。これから何十年もマンションでの生活は続くため想定外のことも起こります。しかし何もしていないよりは、スムーズに問題を乗り越えられるでしょう。ぜひ紹介してきたポイントを参考にマンション購入の手続きを進めてください。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
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