文書を作成しているときに、「ページの最下段に見出しが配置されてしまう…」などの不具合が生じる場合もある。今回は、こういった都合の悪いレイアウトを自動的に修正する方法を紹介しておこう。

見出しと本文の泣き別れを避けるには…?

文書を作成していくと、以下の図のようにページの最下段に見出しが配置されてしまう場合もある。これは一種の「泣き別れ」といえる状態で、このまま文書を印刷してしまうと、お世辞にも「見やすい」とは言えない文書が出来上がってしまう。

「見出し」と「本文」の泣き別れ

このような状況を避ける最も簡単な解決法は、見出しの1つ前の段落で「Enter」キーを押して改行を挿入し、見出しごと次のページへ送ってしまう方法だ。しかし、この解決法には問題も残されている。

もしかすると、改行を挿入したことにより、後のページで新たな「泣き別れ」が発生してしまう可能性もある。また、文章を修正したときに本文の行数が変化し、同様の「泣き別れ」が後のページで発生する可能性も否めない。文書をスクロールしながら全体をよく確認していけば解決できる問題であるが、このような手間をかけること自体、大きな無駄といえるであろう。

そこで、Wordに用意されている「改ページ位置の自動修正」を設定しておくとよい。まずは「見出し」となる段落を選択し、「段落」のダイアログボックス起動ツールをクリックする。「段落」ダイアログが表示されたら、「改ページと改行」タブにある「次の段落と分離しない」をチェックして「OK」ボタンをクリックする。

「段落」ダイアログの呼び出し

「次の段落と分離しない」をチェック

この書式は、次の段落がページをまたいで配置されるときに、自身の段落ごと次ページに送ってしまう書式となる。この仕組みを利用することにより、見出しと本文の「泣き別れ」を回避できるようになる。あまり利用されていない書式であるが、便利に活用できるので覚えておくとよいだろう。

自動的に次ページに送られた見出しの段落

改ページ位置の自動修正

「段落」ダイアログの「改ページと改行」タブには、このほかにも改ページに関連する書式がいくつか用意されている。各書式の機能と用途を簡単に説明しておこう。

改ページ位置の自動修正

■段落前で改ページする
この書式を指定すると、その段落の前で自動的に改ページが行われるようになる。各章を必ずページの先頭から始めたい場合などは、この書式を指定しておくとよい。これで何個も改行を挿入したり、「ページ区切り」を挿入したりする手間を省くことができる。

自動的に改ページされた「章見出し」

■改ページ時1行残して段落を区切らない
以下の図のようにページの最下段に本文が1行だけ残された状態も、一般的には「あまり見栄えの良くない文書」とされている。このような状態を自動的に回避させたい場合は、この書式にチェックを入れておくとよい。

ページ下部に本文が1行だけ残された状態

すると、ページの最下段に本文が1行だけ残る状態になったとき、自動的に段落全体が次ページへ送られるようになる。このとき、見出しの段落(上図では「1.3 世界遺産の登録基準」の段落)に「次の段落と分離しない」が指定されていると、見出しの段落ごと次のページに送られることになる。なお、この書式は「見出し」の段落ではなく、「本文」の段落に指定しておく必要がある。

■段落を分割しない
この書式を指定すると、段落がページをまたいで配置される場合に、段落全体が自動的に次ページへ送られるようになる。この書式も「本文」の段落に指定しておく必要がある。

スタイルへの登録

これらの書式を効果的に活用していくことで、都合の悪い位置でページが更新されるのを自動的に回避できるようになる。ただし、そのつど書式を指定しているようでは手間がかかるだけで効率的ではない。そもそも文書全体をチェックするくらいなら「Enter」キーで改ページ位置を調整した方が手っ取り早いといえるだろう。

よって、これらの書式はスタイルに登録しておくのが基本となる。一般的には、以下のように書式を指定しておくと効率よく文書を作成できる。

■見出しのスタイル
 ・次の段落と分離しない(必須)
 ・段落前で改ページする(見出しのレベルに応じて任意)

■本文のスタイル
 ・改ページ時1行残して段落を区切らない

スタイルの書式を変更する手順は第15回の連載で紹介しているが、念のため“おさらい”しておこう。以下の手順で操作を行う。

まずは、書式を変更するスタイルを右クリックして「変更」を選択する。「スタイルの変更」ダイアログが表示されたら、「書式」ボタンをクリックして「段落」を選択する。

スタイルを右クリックして「変更」を選択

「段落」ダイアログの呼び出し

「段落」ダイアログが表示されるので、「改ページと改行」タブを選択し、必要な書式にチェックを入れておこう。これらの作業を各スタイルに行っておくと、ページが更新される位置を気にすることなく文書を作成できるようになる。些細なことではあるが作業効率に大きく影響するものなので、ぜひ覚えておくとよいだろう。

改ページ位置に関連する書式の指定

なお、本文のスタイルに「標準」を使用している場合は、「標準」のスタイルを変更してしまうことに抵抗がある方もいると思われる。このような場合は「本文の段落」などの名前で新しいスタイルを作成し、そのスタイルに「改ページ時1行残して段落を区切らない」の書式を指定しておくとよい。