炎上騒動の中には、概要を1ミリも調べずとも、Xのトレンドワード、そしておすすめ欄で怒っている人のつぶやきを見るだけで、大体何が起こっているのか予想がつくものがある。

先日起こった焼肉チェーン「牛角」の炎上はまさにそれであり、Xを見ただけで「牛角が女性だけ半額のキャンペーンをやって燃えたのだろう」と予想がついたので、あえて詳細を調べたりはしなかった。

だが後日、こうやって記事の題材に挙がって来たので改めて詳細を確認してみたところ、大体予想通りであった。

このように改めて説明するまでもない話なのだが、牛角が食べ放題の料金を女性だけ半額にしたところ「男女差別である」として炎上、特に男女が常に断絶していることで有名なXでは1日中トレンドに「牛角」が上がり、いつもの男VS女の論争が繰り広げられる事態となった。

なんで多様性で喧嘩ばかりになってしまうのか

だがこの炎上に関しては、キャンペーン内容の是非以前に「何故こんなことをしたのか」と訝しむ声も多かった。

今、世の中は差別に関して非常に敏感であり、特に男女差別に対してはメロスのように激怒する準備ができている。

特にXは北に男女の諍いがあれば「オモシロイカラモットヤレ」と言いに行く、逆宮沢賢治の巣窟である。

先日しまむらが、パパディス商品を販売して燃えたように、男女差別を理由に燃えた案件は数が知れない。

今までそんな汚い花火を何発も見ているはずなのに、「女性だけ半額」という明確に男女差をつけた企画を行ったことに牛角に対し、憤りより、現場猫より純粋な「どうして」を感じた者も多かったようである。

ただ、牛角も何の理由もなく突然女性半額を始めたわけではない。

どうやら「TOKYO GIRLS COLLECTION」とのコラボ企画だったようである。

そもそも「少子化対策」と「多様化促進」の相性が良くないように、「平等」と「商業」の相性もみつはしちかこが描く嫁と姑程度には相性が悪い。

起業理念的には「差別絶許」と掲げはしても、実際には「女性向け」「男性向け」などターゲッティングが必要な場合も多く、ターゲット層が喜ぶ商品や企画を立てた結果、ターゲット外の人間が不満を抱く結果になることもあり、それに対し「お前はハナからターゲットではない」と言ってしまったら、また燃えることになる。

「TOKYO GIRLS COLLECTION」はガールズと言っているように、完全に女性向けアパレルイベントである。

それとのコラボなら、女性向けのキャンペーンになるのはわかる。

しかし「女性が喜ぶ」と同時に、「男性が不満を感じる」キャンペーンになってしまったのは失敗と言えるかもしれない。

「ヴィーナス替刃3本プレゼント」など、女であればそこそこ嬉しいが、男から見るとそんなに羨ましくない得点であれば、ここまで騒ぎにはならなかっただろう。

だがここで「女性向けイベントのコラボだから女性優遇になった」と言えば良かったのだが、「女性は小食だから」と言い訳したことで、さらにX議会は紛糾してしまったようだ。

確かに平均すれば男は女より食うかもしれないが、女でもモチヅキさんみたいなのもいれば、文鳥より食わない男もいる。

  • 平等と商業は相性が悪い? 焼肉半額の条件が性別から年収になる日

    もちづきさんは顔を見ただけでコイツはヤベェってわかりますけどね

男は大食、女は小食と決めつけて企画を立てたというなら、今時ならそれ自体が差別的と言えるのかもしれない。

実際「女は小食」という釈明に、「男以上に食う女だっている」と、男中心に批判が上がったようだが、それに対し「今まで女が男の分を負担していただけなのだから、これが適正価格」という反論があがり、また男女が無駄に断絶することとなった、

これならまだ男女入り乱れて「じゃあお前は TOKYO GIRLS COLLECTIONに行くのか?」で、殴り合った方が平和的であった。

弱男が殺伐とした牛丼屋でこの先生きのこるために

ところでこの炎上、さらに議論はどっちが食うか食わないかを越えて、男女の「収入格差」にまで話が及ぶこととなる。そう、至ってしまったわけである。

現在でも男女の平均年収は男の方が高い。

もらう分が平等になっていないのに、払う分だけ男女平等にしようなんて片腹痛い、ということである。

男女のおごりおごられ論争でも、この収入格差が根拠に挙げられる場合が多い。

確かに税金とて稼いでいる奴の方が多く支払うのがルールなので、収入が高い方が多く払うべきという主張は完全に間違っているとは言えないが、男の方が収入が多いというのは、食事量と同じであくまで平均の話である。

女でも男以上に稼いでいる者はいくらでもいるし、逆に男だけど小3女子より貯金額が少ない者もいる。

収入格差を理由にするなら、男女ではなく、収入証明書を持参させて判断すべきだろう。

だがそれで「お客様は1980円席にどうぞ」と案内されて嬉しいかというとそんなことはない。

むしろ牛角は年収に自信ニキとネキしか来ない、インターネット黎明期の吉牛よりも殺伐とした場になるだろう。

企業は差別はもちろんだが、物議を醸し、世の中が無駄にギスギスするような企画を行わないでほしい。いっそ、いつも大盛りねぎだくギョクを頼む太客だけに、「お客様だけですよ」とバレないようにこっそりやったらいいのだ。