先日、定期的に会っている地元の友人たちと会合を開いてきた。

私の友人だけあってオタク気質のものも多く、自然と話題は「推しの熱愛報道について」という有史以来最も重要かつ死人を出した議論へと移っていった。

序盤は「やはり他メンバーへの影響も考え」などと、さもグループ全体を憂いているかのような後方関係者ヅラを崩さない面々だったが、徐々に「まあ相手にもよる」という話になっていき、最終的に「相手が有名な俳優とかなら文句も言えないが、聞いたこともない匂わせインフルエンサーくずれは勘弁」というところまで堕ちるに至った。

まさに田舎のガストで中年女がコーラとメロンソーダを混ぜながらするに相応しい話だ。

正直推しの熱愛にはガッカリだが、インフルエンサーくずれなど、いとも容易く職業差別発言が出てくる大人にもガッカリだろう。

ただ、インフルエンサー自体が嫌いなわけでもなく、努力と実績で仕事をしていると思しき俳優に対し、大した才能もないのにチョロく有名になって稼いでる存在の象徴がインフルエンサーだったのだろう。

さすが、ポルチーニ茸のクリームパスタを頼んだ5分後に「ポルチーニ切らしたんで他の頼んでください」と言われるテーブルだけある雑な感覚だ。Xの縮図みたいな連中である。

しかし、四半世紀前まで「好きな漫画はワンピース」は、にわかのオタクアピールとして一笑に付されてきたが、115巻まで刊行されている今だと全巻追っている時点でなかなかの手練れである。

同じように、インフルエンサーも、本当にインフルエンスの仕事のみで生活を成り立たせているならタダ者ではないし、その仕事を何年も続けているならなおさらだ。

山田勝巳さんの「職業SASUKE」も、初出時には笑われただろうし、今でも聞くたびに笑顔を禁じ得ないが、山田さんは現在、本当にSASUKEの山田としてテレビ出演やCMなどに出ており、名実ともに職業SASUKEが過言でなくなっている。

YouTuberも同様であり、動画を作成して投稿するだけなら誰でもできるが、それを収益化させ、生活の柱にした上、それを長期間続けている者は一握りのはずだし、その条件は厳しくなるばかりだ。

YouTubeの収益化条件が変更に、YouTuberはもはや狭き門なのかも

  • 「これしかない」と「これがある」は紙一重……

    「これしかない」と「これがある」は紙一重……

YouTubeが2027年の2月から収益化条件を変更すると発表したそうだ。

チャンネル登録者1000人以上に加え、過去12カ月の有効な動画再生時間が現行の4000時間から8000時間へ、またはショート動画の過去90日間の視聴回数が1000万回から2000万回へと、いずれも従来の2倍が必要になるそうだ。

それまでに収益化しているユーザーはそのまま収益化できるようだが、新規約に了承する必要があるという。

つまり、動画投稿は誰でもできるが、そこから収入を得る「職業YouTube」になるためのハードルはさらに上がった、ということだ。

また登録者数だけでなく、過去90日の視聴回数まで条件に入っていることにより、その条件に満たなくなった時点で権利はく奪の恐れがあるため、収益化されてからも長期的な活動が求められる。

つまりたまたま動画が1本バズっても、YouTuberにはなれず、職業にしたいなら「継続力」が必須項目になるため、この時点で「チョロい」でないことだけは確かだ。

この新収益化条件がどれだけ大変であり、そしてYouTubeだけで食べていくにはどれぐらい登録者数が必要で、月どのぐらいの再生数が必要かなど、私にはピンとこなかったため、単刀直入に「漫画家とYouTuberどっちが過酷か」とAIに尋ねたところ「漫画家の方がマシ」という返答が返って来た。

漫画家の方がマシというのは「死んだ方がマシ」に近いということだ、趣味や副業としてならまだしも、本業としてYouTuberを今から目指すのは全くおすすめできないようだ。

ただそれは、他に選択肢がある中で、せっかくだからYouTuberを選ぶようなコンバット越前選択をするなという意味であろう。

私のように、他にできることがなさ過ぎて漫画家をやっている消去法作家がいるように、もうYouTuberになるしかない人だっているだろう。

特に「人と直接接しなくていい仕事」としてYouTuberはかなり完成されている気はする、漫画家も比較的人と接しない仕事だが、編集者という人間の悪いところを濃縮還元した存在と接しなければいけない時点で対人関係が楽とは言い切れないし、そもそも外部からの依頼が必要となってくる場合も多い。

対して、YouTubeは仕事依頼を待つ必要もなく、完全に個人の采配で活動できる点は漫画家より遥かに強いのではないか、とAIに問うてみたところ「変更ばかりのアルゴリズム、何より『視聴者』という気まぐれな存在と常に対峙しなければいけないのだから、人と関わらない職業とは全く言えない」と言われた。

そう言われると、漫画家も「読者」という不特定多数の需要に応えなければいけない仕事という意味では、これ以上ない対人の仕事と言える。

それをAIに指摘されるまで全く気づかなかった時点で私は漫画家に向いているとはいいがたいのだが、何せ他にやれることがないから仕方ないのである。