パナソニックホールディングスが発表した2026年度上期(2026年4月~9月)連結業績は、売上高が前年同期比7.1%増の4兆925億円、営業利益は同120.1%増の3632億円、調整後営業利益は同119.7%増の3996億円、税引前利益は同109.7%増の3729億円、当期純利益は同94.5%増の2769億円と、今後の成長に向けて力強い内容となった。
パナソニック ホールディングスの楠見雄規グループCEOは、「第2四半期決算は、すべてのセグメントで増益となり、第1四半期に続き、過去最高益を更新した。とくに、AIインフラ関連事業および周辺領域では、当初の想定を上回る旺盛な需要に対し、機動的な投資により、供給力を高め、業績の拡大につなげることができた。この需要は今後も続くと見ており、成長機会を確実に捉えていく」としたほか、「課題事業の方向づけやターンアラウンドも確実に進めてきた。ベストオーナーへの譲渡やライトアセット化、中国に軸足を置いたコスト競争力の強化を進めている。半導体製造設備向けのサーボモーターなどが好調なパナソニックインダストリーの産業デバイス事業はもとより、メカトロニクス事業、パナソニックの調理・冷蔵庫事業、テレビ事業についても計画通りに、2026年度末にはWACC以上のROICを達成することができる。また、再建事業と位置づけた空質空調事業や家電事業についても、材料価格の高騰や中国の需要減退といった逆風はあるが、収益改善は確実に進んでいる。これらの取り組みの積み重ねが、第2四半期における全セグメントでの増益となり、過去最高益につながっていると認識している。このモメンタムと、各事業における取り組みの進捗に鑑み、年間業績見通しをさらに上方修正することにした」と述べた。
また、パナソニックホールディングスの和仁古 明グループCFOは、「AIインフラ関連事業および周辺領域の伸長はさらに加速し、2025年度に実施した構造改革効果の刈り取りに加え、増販、合理化、価格政策などの施策も、すべての事業分野で成果をあげている」と総括した。
なお、第2四半期における原材料や物流費の影響はマイナス640億円としたが、価格改定や合理化などの効果は、マイナス分を上回る740億円になったという。
和仁古グループCFOは、「原材料価格高騰の大きな影響を受けているのがインダストリー分野であり、銅、アルミ、樹脂などが高騰している。また、コネクトのパソコン事業でもメモリ価格高騰の影響を受けている。だが、上期には、価格改定で打ち返せるマネジメントができた。期初は心配していたが、やっていけることが確認できた。下期も価格高騰インパクトは大きくなると認識しているが、価格改定で打ち返していく」とした。
第2四半期(2026年7~9月)のセグメント別業績をみると、コネクトの売上高は前年同期比13%増の3689億円、調整後営業利益は同104億円増の299億円。実装機の事業を行うプロセスオートメーションが、AIサーバーを含めたICT需要を捉えたほか、アビオニクスやBlue Yonderが増販となった。また、モバイルソリューションズを中心にメモリ価格の高騰影響が継続したが、アビオニクス、プロセスオートメーションでカバーしたという。
Blue Yonderの売上高は前年同期比7.6%増の7億6000万ドル、調整後営業利益は同4700万ドル増の3600万ドルと黒字化した。和仁古グループCFOは、「第1四半期は好調であったのに対して、第2四半期は少しスローになったが、上期では増収増益になっている。SaaS ARR(Annual Recurring Revenue)の上昇に加え、RPO (Remaining Performance Obligation)、SaaS NRR(Net Revenue Retention)も上昇しており、重要なKPIは、アップサイドのモメンタムが出ている」と述べた。
エレクトリックワークスの売上高は前年同期比10%増の3066億円、調整後営業利益は同121億円増の331億円となった。需要が堅調な国内電材に加えて、インドを中心とした海外電材の伸長が牽引。原材料高騰の影響はあるが、国内では価格改定効果が貢献した。
HVAC&CCの売上高は前年同期比15%増の3586億円、調整後営業利益は同115億円増の155億円。空質空調は、国内やアジア、欧州を中心にルームエアコンが好調となり、欧州ではA2Wが増販となった。コールドチェーンは北米を中心に増販した。
エナジーの売上高は前年同期比46%増の3319億円、調整後営業利益が同556億円増の567億円。車載電池は、米カンザス工場の稼働拡大により、北米工場での増販が貢献。産業・民生では、データセンター向け蓄電システムの旺盛な需要に対応し、大きく成長した。
インダストリーの売上高は前年同期比20%増の3495億円、調整後営業利益は同271億円増の541億円。コンデンサおよび多層基板材料といったAIインフラ向け情報通信関連製品や、サーボモーターおよびセンサ半導体製造設備向けFA機器の需要拡大が継続したという。
スマートライフの売上高は前年同期比1%減の3329億円、調整後営業利益は同117億円増の202億円。国内は小型家電中心に堅調だったが、中国では大型家電の需要減があったほか、欧州では、AVC機器を中心に減販となった。だが、原材料高騰や為替影響があるものの、構造改革効果や合理化が寄与して増益になったという。
なお、楠見グループCEOは、決算会見の冒頭に、2026年10月15日に公表したドラム式洗濯乾燥機のリコールについて説明。「お客様、販売店、関係者に心配と迷惑をかけている。申し訳ございません。お客様の安全を最優先に対応を進めるとともに、再発防止を徹底する」と陳謝した。ドラム式洗濯乾燥機のリコール費用として、190億円を計上している。
一方、2026年度(2026年4月~2027年3月)連結業績見通しを上方修正した。
売上高は6000億円増額し、前年比4.4%増の8兆4000億円、営業利益1200億円増額し、同200.3%増の7100億円、調整後営業利益は1300億円増額し、同74.3%増の7800億円、税引前利益は1300億円増額し、同173.7%増の7200億円、当期純利益は900億円増額の同184.9%増の5400億円とした。
減収増益の見通しから、増収増益の見通しとなり、調整後営業利益は過去最高を目指す。ROEは10%になる見通し。上方修正は、7月に続いて2回目となる。
和仁古グループCFOは、「前回想定を上回るAIインフラ関連需要の伸長に加え、為替水準の見直し、米国関税の還付影響などを反映した」と説明した。
一方で、楠見グループCEOは、「調整後営業利益は、2028年度に7,500億円以上を目指していたが、これを2年前倒しで達成を目指すことになる」とし、「7月の上方修正の際に、もう少し上方修正の余地はあると予想していたが、正直、ここまでの数字になったことは驚きである。2025年度までの構造改革では、1万2000人の社員が、退職するという厳しい決断をしたが、その決断にしっかりと報いていかなくてはならない。AIインフラ関連事業で想定以上の需要があるなどの外部要因も追い風になっている。社員の頑張りと、周囲の支援に感謝している」とコメント。「だが、この成果は、あくまでも通過点のひとつにすぎない。現状に満足することなく、グループ全体でさらに目線をあげて、成長に向けた取り組みを加速する。このモメンタムをさらに推し進める必要がある」と手綱を締めた。
さらに、「改革は、まだ2合目、3合目である。その段階において、この数字を出せたことで、4合目、5合目に進むとどうなるのかということを、自ら問い直しながら、次の目標を定めたい。新たな数字については、2027年5月に公表する」と述べた。
また、「驚きであったと表現したように、これは、成長への転換が見えたということでもある。『手触り感』というには、まだリスクがあり、手放しで、『やった、成長に転じた』というわけではないが、兆しが見えはじめたという感覚がある」とも語った。
2026年度通期のセグメント別業績見通しは、コネクトの売上高は800億円増額の前年比9%増の1兆5100億円、調整後営業利益は100億円増額の同205億円増の1150億円。Blue Yonderの計画は据え置き、売上高は前年比7.2%増の15億5100万ドル、調整後営業利益は5600万ドル増の6000万ドルとしている。
エレクトリックワークスの売上高は450億円増額の前年比7%増の1兆2400億円、調整後営業利益は220億円増額の同293億円増の1180億円とした。HVAC&CCの売上高は1400億円増額の前年比14%増の1兆5000億円、調整後営業利益は据え置き、同269億円増の600億円としている。
エナジーの売上高は690億円増額の前年比46%増の1兆4410億円、調整後営業利益が270億円増額の同1279億円増の2000億円。産業・民生(データセンター向け)では、BBUの供給体制を拡大するとともに、CBUの量産開始準備を計画通りに進めていることを示しており、2026年度のデータセンター向け売上高見通しは、前年比1.7倍の5500億円としている。
和仁古グループCFOは、「供給能力の拡大についても、計画通りに進んでいる。セル生産については、国内の車載向けラインからの切り替えが順次進んでおり、モジュール生産は、2026年9月からメキシコ第2工場で稼働を開始した。チップの進化や高度化に対応すべく、CBUソリューションについても、パナソニックインダストリーと連携しながら、着々と開発を推進しており、2026年度内の量産を予定している。社内に電池とキャパシタの両方のコアテクノロジーを持つパナソニックグループの強みを最大限に発揮し、業界でのポジションを確固たるものにしていく」と意気込んだ。
また、車載電池については、「米国におけるEVの販売台数は、2025年度の一時的な落ち込みから回復基調にある。戦略パートナー(テスラ)からの需要も継続して強い。第2四半期の出荷実績は前年同期比16%増の11.4GWhになった。米カンザス工場および米ネバダ工場での生産最大化に取り組み、年間では期初想定通りの46GWhを供給する」と語った。
インダストリーの売上高は1350億円増額の前年比18%増の1兆3800億円、調整後営業利益は500億円増額の同925億円増の1900億円。「AI関連事業は、想定以上の伸長となっており、それがさらに加速。年間見通しを上方修正した。旺盛な需要に対応するため、生産能力の増強に向けた投資を前倒しで実行した」という。
AI関連事業に約920億円を投資し、多層基板材料および導電性高分子コンデンサの生産能力を拡大。具体的には、多層基板材料を生産する蘇州工場およびアユタヤ工場に新棟を建設し、導電性高分子コンデンサを生産する宇治工場およびバタム工場の生産能力を拡大。四日市工場には、次世代半導体用材料の研究開発棟を新設する。
パナソニックインダストリーでは、2028年度までに1500億円の投資計画を打ち出していたが、今回の投資はその枠を活用したものであり、和仁古グループCFOは、「当初想定していたものよりも高い需要となっている。技術および量産の両面において、急速に拡大する需要に対して、しっかりとした構えを、スピーディに取る。1500億円の投資枠についても、どこまで上積みをするのかといった検討を進めている。AIインフラ関連需要を取り逃さないようにしたい」とした。
スマートライフの見通しは据え置き、売上高は前年比3%減の1兆3350億円、調整後営業利益は480億円増の750億円。なお、その他/消去・調整は、売上高が1310億円増額し、マイナス60億円に改善。調整後営業利益は210億円増額し、同125億円減の220億円とした。
今回の説明のなかでは、AIインフラ関連事業に関する上方修正も発表している。
2026年5月には、AIインフラ関連事業の2028年度売上目標として、1兆3800億円を掲げていたが、今回、これを上方修正し、2028年度に1兆6000億円とした。
和仁古グループCFOは、「想定を超える事業成長をみせている。エナジーは、従来通り、拡大基調を堅持。インダストリーは、GPU周辺領域でのリファレンスの採用拡大に加えて、中国系顧客からの需要が大きく伸長している。データセンター向けに加えて、ADASやロボティクスなどのエッジ領域での需要拡大も見込んでいる」という。















