性能と発熱、そしてバッテリーを検証。事務作業なら丸一日動く
ここからは各種ベンチマークで性能を確かめます。なお検証にあたっては、Windowsの電源モードを「最適なパフォーマンス」に、Lenovo Commercial Vantageの電源モードを「パフォーマンス」に設定しています。いずれも付属のACアダプタを接続した状態で計測しました。
試用機の主な構成は以下のとおりです。
- OS:Windows 11 Pro
- CPU:インテル Core Ultra 7 355(8コア8スレッド、最大4.70GHz、Intel Smart Cache 12MB)
- メモリ:32GB LPDDR5X-7467(オンボード)
- ストレージ:512GB PCIe 4.0 NVMe SSD
- グラフィックス:CPU内蔵(Intel Graphics、Xeコア×4)
Core Ultra 7 355のコア構成はPコア4基とLP-Eコア4基で、Hyper-Threadingを持たない8コア8スレッドです。NPU単独で49 TOPSに達する高い推論性能を備えます。
まずCPU性能をCINEBENCHで確認しました。マルチスレッドは8コア8スレッドという構成なりの結果に収まりましたが、モバイルノートPCとしては十分な水準で、シングルスレッド側も落ち込んでいません。日常的な操作でCPUの遅さを意識する場面はありませんでした。RAW現像やアーカイブの展開といった数十秒程度の処理では、待たされている感覚はありません。一方で、書き出しに何十分もかかる動画編集を日常業務にしている人には、より大きな筐体を持つ機種のほうが向いています。
続いてPCMark 10で総合的な処理性能を見ます。事務系のEssentialsとProductivity、クリエイティブ系のDigital Content Creationのどれを見ても沈んだカテゴリがなく、熱で性能が絞られている様子もありません。表計算とブラウザとオンライン会議を同時に開いたまま一日過ごすような使い方でも、処理待ちで手が止まることはありませんでした。
グラフィックス性能を3DMarkで確認しました。上位のCore Ultra Xシリーズが搭載するIntel Arcとは規模が違いますが、Xeコア4基の内蔵グラフィックスとしては健闘している部類です。Xeコアを8基積む前世代のArc 140Vと比べても、コア数の差ほどには離されていません。ゲームをメインに置いた製品ではありませんが、ビジネス用途で求められるGPU処理であれば不足を感じる場面は少ないでしょう。
ゲーム系のベンチマークも走らせてみました。「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」は1920×1080のフルスクリーンで計測しています。標準品質では「快適」、高品質では「やや快適」という評価でした。最高品質まで上げると「普通」まで落ちました。
より負荷の重い「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK」も、同じ1920×1080のフルスクリーンで計測しました。軽量品質で「やや快適」、標準品質で「普通」、高品質では「やや重い」という結果です。重量級のタイトルを高い画質で遊ぶ用途には向きませんが、ゲームは息抜き程度と割り切れる人であれば設定を落として動かす余地は残されています。
高負荷時にもっとも熱くなったのはキーボードの上部でした。ここは通常の操作で手が触れない位置で、実際にキーを打つ面とパームレストは負荷をかけている最中でもほとんど熱を感じません。2基のファンとスペース・フレーム構造は、熱を手の届かない場所へ逃がす方向でうまく働いていました。
搭載ドライブは512GBのPCIe 4.0対応NVMe SSDでした。シーケンシャルは読み書きともにPCIe 4.0世代として上位に位置する速度で、大きめのプロジェクトファイルを開いても引っかかりを感じません。容量は512GBです。動画素材のような大きいデータを頻繁に扱うのであれば、外付けストレージなどがあったほうが安心でしょう。SSDのスロットはPCIe 5.0 x4に対応しており、自分で交換することもできます。手狭になったら換装するという選択肢が残されているのはありがたいです。
最後に、バッテリー駆動時間を「PCMark 10 Battery Life benchmark」で計測しました。オフィスソフトでの作業やWebブラウジング、ビデオ会議といった事務作業を想定した「Modern Office」というシナリオです。電源設定はバランスにして、ディスプレイ輝度は50%に固定しました。あわせて適応減光とSmart Modesの自動モードはオフにしています。
計測の結果は15時間26分でした。搭載するバッテリーは58Whrで、けっして大容量ではありません。そこへ電力を食う2.8K有機ELを組み合わせたうえでこの数字なので、一日の業務はACアダプタなしで乗り切れます。外出や出張が多い人ほど頼もしく感じられるはずです。
軽さもポートも削らなかった、外に持ち出すためのThinkPad
ThinkPad X1 Carbon Gen 14 Aura Editionは、薄型の筐体にPanther Lake世代のCore Ultra 7と2.8K有機ELを収めた14型モバイルノートPCです。実測987.5gという軽さと、たわむ気配のない剛性が同居しています。
サラサラとしたマットな手触りは、毎日触れる道具として気持ちのいい部分です。反射を抑えたパネルも作業に向いていて、照明の下でも映り込みに悩まされることがありませんでした。
使い勝手を支えているのはポートの配置です。Thunderbolt 4が左右に分かれ、フルサイズのHDMIまで独立しているので、ハブを持ち出さずに済む場面がかなり多くなります。キーボードはストロークが十分で打鍵音も静か。CtrlとFnの入れ替え設定が残っているあたりは、ThinkPadらしさを感じます。
感心したのは、この薄さで無理をしていないことです。薄型の筐体に2基のファンを積み、高負荷時も手が触れる面は熱くなりません。バッテリーも58Whrと控えめながら、事務作業を想定したシナリオでは15時間を超えました。1kgを切る設計でこの駆動時間なら十分でしょう。
本機がいちばん力を発揮するのは、毎日カバンに入れて外で仕事をする使い方です。ハブも電源も気にせず持ち出せる14型として、有力な選択肢になるはずです。











