ハンガリーの鬼才パールフィ・ジョルジ監督が描く異色のヒューマンドラマ『雌鶏』(2026年9月25日公開 配給:ハーク)の本編映像が公開となった。
『雌鶏』は、養鶏場から搬送中に逃走した1羽の雌鶏の旅を、人間の尽きない欲望や社会の理不尽さをユーモラスに描いた寓話。「鶏は三歩歩くと忘れる」という俗説を覆すシーンの数々を、8羽の雌鶏が役割を分担して熱演。演技未経験の「新人俳優」でありながら、世界的に著名な動物トレーナーであるアルパード・ハラシュの指導のもとCGIや特殊効果に頼ることなく、実演による撮影を敢行した、まさに「生きた」鶏たちの映画である。
監督・脚本を務めたパールフィ・ジョルジは、『ハックル』(2002)、『タクシデルミア ある剝製師の遺言』(2006)がアカデミー賞国際長編映画賞のハンガリー代表作品に選出され、国内外の映画祭で数々の賞を受賞してきた実力派。本作では雌鶏の目を通して移民問題、人身売買、貧困、格差など、現代ヨーロッパ社会の問題を鋭く、そしてユーモラスに暴き出し、想像を超えるスリルと愛に満ちた物語を完成させた。その芸術性と作家性は高く評価され、2025年の第50回トロント国際映画祭では、「大胆さ、知性、創造性にあふれ、他に類を見ない驚くべき独創性」と評され、審査員特別賞(特別表彰)を受賞。また、同年、第38回東京国際映画祭、第73回サン・セバスティアン国際映画祭などでも上映され、好評を博した。
この度、ギリシャの名曲が雌鶏の恋心とリンクする約3分間の本編映像が公開となった。
レストランオーナーのおじさんが、雄鶏を抱えて車から降りてきた瞬間、ただならぬ気配を感じたのか、じっとその姿を見つめる雌鶏。 異国情緒あふれるギリシャのメロディーが鳴り響くと、雌鶏は何かを察したかのように寝床からすくっと立ち上がり、一目散に駆け出す。おじさんが「仲良くしろよ」と小屋に雄鶏を入れると、雌鶏は尋常ではない速さで駆け寄り、"イケメン雄鶏"をフェンス越しにじっと見つめる。
そこに重なるのが―
「♪― その黒い瞳 見るとめまいがして胸が激しく高鳴り そして思い出してしまう 昔の恋人を」
実は雌鶏は、直前に恋人を失ったのだ。
まるで雌鶏の恋心そのものを歌っているかのような歌詞が、言葉を話さない雌鶏の感情を浮かび上がる印象的なシーンとなっている。
パールフィ・ジョルジ監督は本作を制作する際、自国の政治情勢により、政府の方針にそぐわないアーティストにとって厳しい状況が続いていたことから、資金調達に苦労していた。そこでプロデューサーの提案により、撮影地をギリシャへ移すことに。
本作では難民問題への視点も描かれており、北アフリカやアジアからヨーロッパを目指す人々にとって主要な玄関口のひとつであるギリシャという土地は、物語にも必然性をもたらす舞台となった。そして、そのギリシャという土地は"音楽"の面でも本作に独特の魅力を与えている。
雌鶏が雄鶏と出会うシーンで流れる2曲のギリシャの歌「Επίσημη αγαπημένη(エピシミ・アガピメニ/本命の恋人)」 と、「Τα Μαύρα Μάτια Σου(タ・マヴラ・マティア・ス/あなたの黒い瞳)」は、パールフィ・ジョルジ監督自らが選曲したもの。まるで雌鶏の心情を歌うために作られたのではないかと思うほど映像と歌詞がリンクしており、本作のために書き下ろされたオリジナル曲なのではないかと思うほど、驚きのシンクロとなっている。
■ストーリー
養鶏場で生まれ育った1羽の雌鶏が、出荷用トラックから脱走する。人生初の自由を手に入れた彼女は、刺激と危険に満ちた世界を走り抜け、ワケあり一家が暮らす家へと辿り着く。庭に建つニワトリ小屋で新生活を送る中、初恋を知り、初めて産んだ卵を温め育てようと決意する。ところが大切な卵は毎日人間に回収されてしまう過酷な現実に直面。人生とは?生きるとは?雌鶏は我が子がヒヨコになる日を夢見る一方、飼い主一家はとある事件に巻き込まれる。そこには両者にとって思いがけない運命が待ち受けていた――。
■出演者
雌鳥(エスティ、サンディ、フェリ、エンチ、エティ、エニクー、ノーラ、アネット)
レストランのオーナー:ヤニス・コキアスメノス
少女:マリア・ディアコパナヨトゥ
少年:アルギリス・パンダザラス
■スタッフ
監督:パールフィ・ジョルジ
脚本:パールフィ・ジョルジ、ルットカイ・ジョーフィア
プロデューサー:タナシス・カラタノス
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